北朝鮮、改訂憲法「核保有国」再明記
Japan In-depth / 2019年7月16日 11時0分
また、「金正恩が核放棄を決意した」会議だと騒がれた2018年4月20日の第7期第3回朝鮮労働党中央委員会全員会議でも核放棄に関する言及はなかった。この会議では「核兵器化の完結が検証された条件の下で、今やわれわれにはいかなる核実験と中・長距離、大陸間弾道ロケット試射も不用となり、北部核実験場も自己の使命を果たした」と強調し、決定書で「2018年4月21日から核実験と大陸間弾道ロケット試射を中止し、朝鮮の北部核実験場を廃棄する」と記したが、これは核放棄宣言ではなく核兵器完成宣言であった。
▲写真 トランプ米大統領と金正恩委員長(2019年7月2日板門店)出典:DPRK(North Korea)Twitter
■ 北朝鮮の核問題解決は「レジームチェンジ」がベスト
北朝鮮は核保有のために、三代世襲・数十年間にわたってあらゆるものを犠牲にし、あらゆる手段を尽くしてきた。金日成・金正日時代には「核を持つ意思もなければ、その能力もない」などと米国を騙し、金日成死亡後には「朝鮮半島の非核化は金日成の遺訓」などとの言辞を弄して国際社会を欺瞞してきた。
そして核ミサイルが完成した金正恩時代に至っては「先軍朝鮮の核兵器は、巨万の金をもっても替えがたい民族の生命であり統一朝鮮の国宝である」と開き直り、核保有の恒久化宣言を行った。そして今年の改訂憲法にも「先軍政治によって・・・わが祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に転換させ、社会主義強国建設の輝かしい大通路を切り開いた」と明記したのである。
この三代にわたる執念の獲得物を金正恩が放棄するはずもなく、金正恩の一存で破棄できるものでもない。北朝鮮の核を除去する方法としては、
①内部の反金正恩勢力を育てて外部との協力(斬首作戦を含む)のもとに金正恩体制をレジームチェンジさせるか
②日韓が核武装して日韓の核廃棄と北朝鮮の核廃棄とを交換するか
③米国の軍事オプションで叩き潰す
などが考えられるが、この選択肢の中で最も良い方法は①の方法ではないかと思われる。
トランプ大統領が「ディールの大天才」であっても、金正恩といくら仲良しになっても、経済制裁と交渉だけで北朝鮮の完全な非核化を実現するのは困難である。中国が北朝鮮を支援する下では、ディールで可能なのはせいぜい「核の凍結」くらいだろう。北朝鮮改訂憲法の「核保有国」明記がそれを明確に示している。
トップ写真:軍の演習を視察する北朝鮮の金正恩委員長(2019年5月10日)
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