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パフォーマンス理論 その24 年齢と適応について

Japan In-depth / 2019年7月19日 7時0分

これは選手が就職して練習時間が短くなると逆に強くなる現象が起きるのにも似ている。学生時代は時間があるからなんでも練習を詰め込んでしまうが、就職すると時間がなくなるので重要な練習だけを選ぶように意識し始めるからだ。人間は限界が設定されて初めて何を入れて何を省こうか考え始める。それはつまり優先順位をつけるということだが、基準のない優先順はないから、何が基準なのかを考えざるを得ない。基準を決めるためには、競技の特性と、自分の強みと戦略がわかっていなければならない。ひっくり返すとそれがわかっていない人間は練習に優先順位がつけられないために、無駄な練習を行ってしまう。イメージで言えば幹と枝葉があり、幹が何かを考えたことがない人間は枝葉と幹を混ぜるので練習効率が落ちてしまう。


また、大人になるとどこかに痛みを抱えていることが多く、それによってできない練習が出てくる。そのできない練習が重要であれば痛みが出ない方法で代用しなければならないが、代用する時にその練習の本質がわかっていないと代用の練習が違う効果を生んでしまう。料理をしていて人参の味がよくわかっていなければ他の野菜で代用できないのに近い。この点からも練習の意味をわかっていなければならない。


参考までに私が考えたことを羅列してみる。


(1)走る競技は全て胴体をゴールまで運ぶ競技である。400H の場合ハードルが10個プラスさせる。ハードルはつまり、ブレーキをかけ少し身体を上に引き上げハードルを越える行為。飛び上がる際のブレーキを最小にすることがハードル技術の差。


(2)ブレーキは踏み切る瞬間に決まっている。最もブレーキが少ないのはハードルに対し適切な距離で踏み切った時。空中動作はそれほど差はない。踏切位置は2,30m手前から影響を受けている。400Hの要はハードル間の歩幅の調整。とくに低身長である自分の特徴を考えるといかに最小の上下動でハードルを越えるかが重要。


(3)400Mのスピード+ハードル間の歩幅調整技術が400Hの根幹要素と定義


(4)練習は7割走力、3割技術。技術練習はハードルを跳ぶ行為ではなく歩幅調整が大事なので、ミニハードルやバウンディングなどの様々な態勢でスピードを変えず歩幅を調整する練習を行う。適切な距離で踏み切ればだいたいうまくいくので実際にハードルを跳ぶ練習は、プライオリティを落とす。


という風に順に考えていって練習を決めていた。もちろん違う見方をする400Hの選手もいると思うがなんにせよ、一体自分はこの勝負の何が要諦だと考えているのかを整理することが重要だと考えていた。それがなければ練習の効率が落ちる。大人になって練習効率が悪ければほぼ通用しない。年齢が上になってくると、グラウンドの上よりもむしろ知識と思考量で差がついていくと私は考えている。


大雑把にまとめると、幼少期にはなるべく様々な体験をし早すぎる適応や競技特化型の適応を避けるべく色んな引き出しを作っておく。成熟してからは、狙うべき競技を絞り込み要点を絞り、自分の特徴を整理し、適応させにいく。幅を広めにとって徐々に当たりをつけて最後にそこに一点投下するというイメージに近いだろうか。私が子供時代に色んな経験をして欲しいと言っているのは、人生で多様な体験をすることが、何に自分が向いているか努力をどこに割り振るかの勘を得るために重要になると感じているからだ。パフォーマンスが上がるということは適応するということであり、適応するということは若干でも癖づけるということでもある。どのタイミングで最適化するかが競技者にとってはとても重要だ。


 


トップ写真)Pixabay Photo by bottomlayercz0


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