EUの産みの親は「日系人」 今さら聞けないブレグジット 1
Japan In-depth / 2019年7月19日 4時21分
写真)映画『カサブランカ』のトレーラー
出典)Wikimedia Commons; パブリックドメイン
後に、と言うより、ようやくヨーロッパ統合への動きが現実となったのは第二次世界大戦が終結した後のことであり、この動きを主導したのは、戦時中ナチスによって国を追われ、ロンドンでフランス亡命政府を立ち上げた、シャルル・ドゴール将軍とその側近たちであった。これについては、次稿でもう少し具体的に見る。
崇高な理想の持ち主であっても、現実の政治にはうとく、もっとはっきり言えば、世間知らずなボヘミアの田舎貴族であったクーデンホーフ=カレルギー伯爵は、戦後ヨーロッパにあっては、表舞台に再び立つことはなかった。戦前、ナチス。ドイツによるオーストリア併合を阻止すべく、イタリアのムッソリーニの力を借りようと動いたことが、誤解されたという面もあったようだ。
このためか、わが国においては、母親のクーデンホーフ光子と比べて、はるかに知名度が低いのだが、私は20年以上前から一貫して、ヨーロッパ統合運動の歴史の中で決して忘れてはならない人物だと訴え続けてきた。
彼の人となりに、はからずも宿敵となったヒトラー、彼らが活躍した時代背景については、手前味噌ながら、拙著『青山栄次郎伝』(角川書店)をご一読いただければと思う。
本シリーズのテーマはブレグジット=英国のEU離脱問題だが、正しい理解に至るためには「そもそもEUとはなにか」というところから知識を得て行かなければならない。
かつて「国境なきヨーロッパ」を実現させるべきであると説き、その結果ナチスに命を狙われた人物がいたこと。そしてその人物は、東京・牛込の町娘を母として生まれ、青山栄次郎という名を授かった我らの同胞だということは、もっと広く知らしめられるべきであると、私は今も信じている。
(2に続く)
トップ写真)林 信吾 著 「青山栄次郎伝 EUの礎を築いた男」
出典)Amazon.co.jp
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