控えめな「ヨーロッパ統合の父」 今さら聞けないブレグジット その2
Japan In-depth / 2019年7月21日 0時19分
▲写真 シャルル・ド・ゴール元大統領 出典:Flickr; The National Archives UK
端的に言うと、ド・ゴールの思想は、あくまでも主権国家のゆるやかな連合体を志向するものであったのに対して、モネは国家の主権をある程度制限して行かねば、本来の意味での統合など実現し得ない、と考えたのである。
ナチスによって国を追われた彼らが、戦後ヨーロッパの姿として(ナチス打倒はもちろん大前提だが)、ドイツとの歴史的な和解が不可欠だと考えたこと自体は、特筆に値するが、思想的に一枚岩ではなかったのだ。
それでもモネは、終生メディアの前でド・ゴールを悪く言うような真似はしなかった。持ち前の人当たりの良さを、誰に対しても崩さなかったのである。
自分の手柄を誇ることも、苦労を誰かのせいにすることもなく、メディアから「ヨーロッパ統合の父」という呼び名をたてまつられても、笑って取り合わなかった。
それでも、彼の功績が忘れられることはない。1979年に他界したが、今やヨーロッパの複数の大学において、EU法や政治経済が、ジャン・モネ講座の名で教えられている。
次回からはいよいよ、統合への道を歩んで行くヨーロッパ大陸諸国に対して、英国がどのように関わり、そしてEU離脱を訴える勢力が台頭してきたのかを見て行くことにしよう。
(その3に続く)
トップ写真:コンラッドアデナウアー氏とジャン・モネ氏 出典:ドイツ連邦公文書館
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