加賀市、起死回生のMaaS導入
Japan In-depth / 2019年8月1日 11時25分
出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)
「出町譲の現場発!ニッポン再興」
【まとめ】
・SBとトヨタが出資する新会社が次世代移動サービスを展開。
・加賀市路線バス減少の中、MaaSを利用した乗合タクシー活用。
・加賀市の自治体新電力はすべての電力を地域内で調達・供給できる体制目指す。
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私はテレビ局に勤務しながら、地域再生の現場を取材している。そこで痛感したのは、今後地方では「勝ち組」と「負け組」がはっきりするということだ。それぞれのまちが、危機感を持ち、一歩踏み出すかどうか。それが命運を決める。まちが輝くためには何をすべきなのか。現場から報告したい。
先日フジテレビで、私の故郷、富山県高岡市に関して1時間番組が放送された。財政危機で、市民サービスが次々にカットされる現状を伝えていた。なかでも大きなインパクトがあったのは、去年3月のコミュニティーバスの廃止だ。ある高齢者は、タクシーを使って美容院に行く。往復で1500円の出費は手痛い。自宅に引きこもりがちになるという。
この番組を見ながら、バスは「高齢者の足」だと改めて思った。人口減少で利用者が減っても、いかにして公共交通機関を維持するのか。それが行政の腕の見せ所と言える。
そんなことを考えていた矢先、石川県加賀市の取り組みを知った。人口6万5000人。山代、山中、片山津といった北陸有数の温泉地を持つが、高齢化と人口減少に悩まされている。
その取り組みとは、次世代移動サービスだ、移動サービスというと、ややこしいが、つまるところは、公共交通だ。そのために提携したのは、ソフトバンクとトヨタ自動車が出資するモネ・テクノロジーだ。
この会社は、需要に合わせた配車サービスを行う。こうしたサービスは、「MaaS」(マース)と呼ばれる「Mobility as a Service」の略。つまり、サービスとしての移動手段という意味だ。自動車を所有せず、必要な時だけ利用するサービスだ。トヨタの豊田社長が去年10月、ソフトバンクの孫社長と共同会見を開き、このMaaSに参入し、話題となった。
それでは加賀市では具体的にどう応用するのか。現在市内を走り回っている乗り合いタクシーに通信機を取り付けることになった。
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