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米中覇権争いの狭間で日本は

Japan In-depth / 2019年8月4日 11時0分

米中覇権争いの狭間で日本は


小黒一正(法政大学教授)


【まとめ】


・米ほぼ全ての中国製品に関税課す「第4弾」9月1日発動と表明。


・2030年代には中国は米の経済力を凌駕すると予測される。


・「購買力平価ベース」では2014年に既に中国が世界一。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47181でお読み下さい。】


 


1980年代、エズラ・ヴォーゲル著『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(Japan as Number One: Lessons for America)が世界的な話題となったが、グローバル化やIT・ネットを活用した産業構造の転換に手間取り、現在の日本経済にその勢いはない。人口減少・少子高齢化、低成長、貧困化というのが日本経済の課題になりつつある一方、中国をはじめとする新興国の勢いは止まらない。


そのような中、アメリカと中国の覇権を巡る戦いが2018年以降に顕在化した。この一つの象徴となったのが、2018年7月、アメリカが輸入する中国製品のうちロボットや工作機械など約800品目に約340億ドルの制裁関税を発動し、中国も同規模の報復関税を課したことだった。


その後、第2弾の制裁関税などが発動され、2018年9月、制裁関税第3弾として、アメリカは中国から輸入する家電や家具など約5700品目に2000億ドルの追加関税を課す措置を行った。


また、2019年5月、5G通信の分野で勢いを増す中国の華為技術(ファーウェイ)や関連企業68社をアメリカ企業の製品販売禁止リスト(技術移転を含む)に指定した。2019年6月下旬のG20大阪サミットでのトランプ大統領と習近平国家主席との米中首脳会談で、制裁関税第4弾の見送りや華為技術(ファーウェイ)への部品供給許可などが合意され、一時的な休戦状態となったが、8月上旬、トランプ米大統領はほぼすべての中国製品に関税を課す「第4弾」を2019年9月1日から発動すると表明した。



▲写真 2019年 大阪G20の時のトランプ大統領と習近平主席 出典:Flickr; The White House


そもそも、このような対立を生み出す要因は何か。それは中国の経済力がアメリカを凌駕しつつあるためだ。IMFデータによると、市場為替レートベース(ドル換算)で、1995年のアメリカ・中国・日本の世界経済に占める割合は各々24.6%・2.4%・17.6%であったが、2010年に中国は日本を上回り、各々22.7%・9.2%・8.6%になった。2018年は各々24.2%・15.8%・5.9%で、アメリカは中国をまだ上回っている。経済学者の多くの予測では、市場為替レートベースで中国がアメリカを超えるのは2030年代である。


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