金正恩庇うトランプ密約疑惑
Japan In-depth / 2019年8月4日 22時11分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・北朝鮮が発射したミサイルは韓国全土が射程に。
・トランプ氏の北をかばう発言は「米韓相互防衛条約」の精神に反する。
・トランプの度を越した北擁護に米朝密約疑惑。
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北朝鮮は、5月4日に続き7月25日に短距離弾道ミサイル2発を発射したが、7月31日には新型大口径誘導ロケット砲を発射した。続けて8月2日にも大口径誘導ロケット砲を2発発射した。
いずれも日本海に向けた発射だった。ハノイ米朝首脳会談以降強めている「通米対南圧迫政策」にさらに拍車をかけているようだ。
■ 金正恩が韓国を露骨に威嚇
25日に発射された「偏心弾道短距離ミサイル」は600キロ以上飛行し韓国全土を射程に収めた。31日発射の大口径誘導ロケット砲(多連装ロケット)は250キロを飛行し、韓国忠清北道清州(チョンジュ)のF35ステルス機基地と慶尚北道星州(ソンジュ)にあるTHAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)基地を射程に収めた。高度30キロまで上昇し直線で高速飛行し目標地点に落下するために、パトリオットミサイル(最高高度30キロ)とTHAADミサイル(最低高度40キロ)では迎撃が困難とされている。韓国にとっては25日に発射された「偏心弾道短距離ミサイル」(イスカンダル型)よりもこのロケット砲の方が脅威であると言える。
▲写真 韓国に配置されたTHAAD 出典:U.S. DEPARTMENT OF DEFENCE
金正恩委員長は、この新型大口径誘導ロケット砲の試射結果を見て、「本当にすごい、この兵器の標的になることを自ら招く勢力には今日のわれわれの試射結果が払拭できない悩みの種になるだろう」(朝鮮中央通信)と述べ、韓国を威嚇した。
■ 米韓相互防衛条約を無視するトランプ
北朝鮮が25日に発射した国連安保理決議違反の短距離弾道ミサイルは、文在寅大統領とトランプ大統領の対応に耳目を集めさせた。しかし文在寅は非難の言葉を一言も発せず黙認し、トランプは「米国には脅威とならない」と金正恩をかばった。
トランプ大統領は26日(現地時間)、記者団とのやりとりで、北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射問題に触れ、「彼(金正恩)は米国に警告したわけではない」という趣旨の言葉を40秒間に3回繰り返し、弾道ミサイル」という言葉も使わなかった。
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