米、頻発する銃乱射事件

Japan In-depth / 2019年8月6日 14時54分

米、頻発する銃乱射事件


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019#32」


2019年8月5日-8月11日


【まとめ】


・米 13時間以内に2つの銃乱射事件発生。


・トランプ大統領のヘイトクライムへの対応が事件を助長か。


・トランプはuniversal background check(全国一律の身元検査)に触れず。


 


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先週は冒頭、カリフォルニア北部地方都市での祭典で起きた凄惨な銃乱射事件を取り上げた。その際は、最近米国ではこの種の事件が「数日に一回の頻度で起きている」と書いたが、先週末はわずか13時間内に何と二回、テキサス州とオハイオ州でmass shooting(乱射)が連続して起きた。一体米国はどうなってしまったのだろう。


 


最初の事件はテキサス州国境の町エルパソで起きた。当局が拘束した容疑者は21歳の白人男性、ヒスパニック系を標的としたhate crime(憎悪犯罪)の可能性が高いという。容疑者が書いた犯行声明では、同州で増え続ける中南米系移民による「侵略への攻撃」だとしており、典型的な白人至上主義者の仕業と見てよいだろう。


 


一方、オハイオ州デートンの繁華街で起きた事件では犯人が「20秒間に数十発の銃弾」を撃ち、犠牲者の1人は容疑者の妹だったなどと報じられたが、状況から見て特定人種などを狙った憎悪犯罪ではなさそうだ。それにしても、使われた銃の弾倉は100発も入る巨大なもの。なぜこんな戦闘用の銃が米国では合法的に手に入るのか。


 


問題は二つある。第一は今後もcopycat(模倣犯)事件が多発する可能性があること。第二に、それとの関係でより深刻なことは、ヘイトクライムに関するトランプ氏の大統領としての発言が軽過ぎることだ。米国内にはトランプ氏の人種差別に対する煮え切らない非難声明が逆にこの種の事件を助長しているといった批判も根強い。


 


直近のトランプ氏の発言は次の通り。「この国に憎悪の居場所はない」、これらの事件は「とても、とても深刻に精神を病んでいる人たち」によるものだ、(エルパソの事件は)「臆病者の仕業」である、といった具合。犯人の個人的性向には触れても、銃規制や人種や宗教による差別・憎悪犯罪の具体的問題につき言及することはなかった。


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