フランス、脱階層社会の試み 下
Japan In-depth / 2019年8月8日 7時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・仏の障がい児への対応は「教育」ではなく「福祉」であった。
・2005年から、障害有無を問わず授業する「インクルーシブ教育」が開始された。
・「混ぜる」ことで、多様な他者に対する理解力が高まる。
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性別を関係なく混ぜる、社会層関係なく混ぜるなど、フランスでは、さまざまな「混ぜる」が意識しされてきたが、日本に比べればかなり遅い出発ではあったが、それはまた、障がい児に対しても活動がなされている。
身体機能に障がいがある30代のフランス人男性と定期的に会話する機会に恵まれ、彼の視点から見る様々な話を聞いたが、その話の中で、フランスでは近年まで障がい児が通えるクラスが一般の学校内になかったと言う事実にびっくりしたものだ。というのも、現在で言う特別支援学級である障がい児を支援するクラスは、日本では1945年から学校内に存在していており、私自身は、特別支援学級が学校の中にあることが普通という環境で育ったからである。
フランス人男性はこう語る。
「僕が小学校の頃は、障がい者が学校に行くことは許されてなかったんだ。それでもって養護学校は遠くて行けなかったし。中学校からはやっと普通の学校に行けるようになった。その後、寮に入って遠くの障がい者の就職を支援するとこに行ったが、そこにいる人らは、大抵算数もできなくて、フランス語書くこともできなくて驚いたね。僕は学校に行けなくても両親が家庭教師をつけくれたから何とかなったけど、そうできなかった人たちが多いってことを知ったよ。」
そこで調べてみたら、フランスで学校内に障がい者を支援するクラスが設けられたのは、なんと1991年のことだと言う。(参照:平成22年度障害のある児童生徒の就学形態に関する国際比較調査報告書)日本が普通に教育すべき対象と捉えていたのと違い、フランスでは障がい児に対する対応は「福祉」と捉えられており、フランスでは学校教育体系の中に障がい児教育が位置するまでに、長い時間がかかったのである。
子供達が通っていた地元の小学校では、障がい児が在籍するクラスCLIS(La classe pour l'inclusion scolaire)は、ほんの6,7年前にできたばかりだ。しかし、そのクラスができた当時起こった出来事は、今でも鮮明に覚えている。
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