選手村マンションはレガシー?東京都長期ビジョンを読み解く! その72
Japan In-depth / 2019年8月8日 11時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
【まとめ】
・選手村マンションは異常なほどの「お得さ」。
・ハルミフラッグのメリット購入者のみ。公共性に欠ける。
・都市計画マスタープランの経緯は「正統性」がない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47283でお読みください。】
敗者復活。8月8日から!
本連載でも指摘した東京五輪チケット販売がまた始まるようだ。Newsweek誌によれば「チケット総数は780万枚。このうち25%はスポンサーや関係者、20~30%は日本以外の国々で販売」と言われている。世界でも人気のようだ。
東京五輪・パラリンピックまであと1年!混雑緩和策の実証実験、東京五輪音頭の盛り上げなど、行政を中心に1年後の開催に向けて関係者は準備に頑張っている。暑い中、ご苦労様である。
■ 選手村マンション、抽選倍率70倍!
さて、そうした中、選手村マンションの販売がスタートしたというニュースが話題だ。抽選倍率70倍超えの人気物件もあり、当選者は喜んだろう。
中央区晴海に建設される選手村の宿泊施設は21棟。五輪・パラリンピック終了後に、分譲・賃貸用のマンションに改修、50階建てタワーマンションも2棟、商業施設も建設され、5600戸が入居できる大規模な「町」ができる。
▲写真 出典:HARUMI FLAG HP
事業内容を見てみよう。
▲画像 出典:東京都都市整備局HP「市街地再開発事業」
540億円で出来上がる街の名前は「ハルミフラッグ」。訳せば、晴海地域の旗艦ということだろう。
■ 「ハルミフラッグ」の公共性は?
今回売り出されたマンションは、「270〜280万(坪あたり)」だそうだ。いわゆる坪単価、本体価格÷床延面積で計算される。問題は、周辺は350万円とも言われるので、相対的に安価であるとの指摘もある。
確かに、売れ残りリスクを防ぐためにも、安く買ってもらうのは、五輪のメリットであることを明らかにする意味で仕方ないかもしれない。安く買って高く売るということをゼネコン側にさせないだけまだましかもしれない。
しかし、応募倍率が70倍も集まるのは相当「お得だから」だろう。そんな異常なほどの「お得さ」を作り出すことは、一部の人にメリットがあるという意味で公平性に欠ける。
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