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統一通貨ユーロが持つ意味(下)今さら聞けないブレグジット その8

Japan In-depth / 2019年8月12日 0時0分

私は旧い人間なので、ロココまでしか拝んだことがない……というのは冗談だが、これ以上の高額紙幣は、ほとんど流通していないのが実情だ。日本ではあまり知られていないが、5000ドル紙幣や1万ドル紙幣も、流通は稀だが存在している。


一口に建築物と言っても多種多様だが、カリーナのデザインはこの点でも秀逸で、表には開かれた国境を象徴する門、裏には加盟国の連帯を象徴する橋が描かれた。さらに、額面が大きくなるにつれて紙幣そのものも少しずつ大きくなる上、色も変わって数え間違いなどのリスクを軽減している。その上、濃淡も工夫されて、視覚障害がある人にも配慮されているという芸の細かさだ。



▲画像 ユーロ紙幣の表には開かれた国境を象徴する門が描かれている。出典:Eouropean Central Bank


言うまでもないことだが、デザイン的に優れているというだけでは、通貨が信用を得られることはない。前稿の冒頭で述べたことも、ここに話がつながってくるわけで、通貨の発行元である中央銀行の信用が、すなわち通貨の信用である。



▲写真 欧州中央銀行とユーロのシンボル(ドイツ・フランクフルト)出典:flickr; Kiefer


この点EUは、ブンデスバンク(ドイツ国立銀行)という、この上ない手本を,予め持っていた。とかく頭が高いと言われる英国の銀行員でさえ、ブンデスバンクの関係者と会うときだけは威儀を正す、というくらい、その権威は高かった。したがって、欧州中央銀行はブンデスバンクを手本として創立され、本店まで同じフランクフルトに置いているのだが、これを英国側から見たら、「ユーロに加盟することは、本当にドイツの軍門に下るという意味だ」ということになる。財界と政界とでは温度差もあるのだが、英国がユーロに加盟せず、今日ブレグジットで揺れている原因を考える時、これもまた見逃せない要素なのである。


(シリーズその1、その2、その3、その4、その5、その6,その7)


トップ写真:英国旗(上)とEU旗(下)出典:European Union


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