現代の恐竜島、閉鎖で大騒動
Japan In-depth / 2019年8月12日 11時44分
ところが観光資源に頼るコモド島の住民や現地観光業者から一斉に反対の声が上がり、州政府が対策に乗り出す事態に発展している。
こうした状況を受けて州政府はコモド島のコモドドラゴン生息環境保護のために島内の生息地域の定住する住民の
①強制立ち退き
②厳しい環境保護の条件下で居住の継続を認可する
③収入源確保のため立ち退き移転先を州政府が確保して順次移転
――の3案を提示して住民との交渉を進めている。
州政府のヨセフ・A・ナエソイ副知事は7月29日に地元テンポ誌に対し「コモド島の観光客に対する閉鎖を2020年から実施することはすでに最終決定している。問題は島の観光地区つまりコモドドラゴンの生息地区に居住している住民をどうするかである」と述べ、住民と今後も協議を続ける方針を示した。
生息地区に住む住民の大半は観光客を相手にした観光業で収入を得ており、観光客の立ち入り禁止となれば、生活苦に直面することは不可避となるため、移転を含めた対策が必要となっている。
州政府では同州内には住民を受け入れる移転先の候補が数多くあり、集団移転にも対応できる、として住民の早期移転を最優先で行いたい意向という。
■ 密猟・密輸、エサ不足も閉鎖の背景に
コモド島への観光客立ち入り禁止を打ち出した背景には種の保存とともに「密猟の防止」もある。
2019年3月にインドネシア警察は首都ジャカルタ、地方都市スラバヤ、世界的観光地バリ島で子供のコモドドラゴンを含む41頭を密売しようとしていた密輸グループを摘発、41頭を保護した。その後の捜査でこのグループはタイやベトナムの密輸業者と組んでコモドドラゴン1頭を5億ルピア(約390万円)で密輸する計画だったことがわかった。
こうした密猟による個体数の減少に加えて、コモドドラゴンのエサとなる鹿や猪、鳥類、爬虫類などの入手が困難になっていることも一因と指摘されている。
野生の鹿、猪、鳥類などが減少したことで、近年は国立公園管理者などがそうしたエサを他の場所で確保して提供しているが、それでも「エサ不足」は深刻で不用意にコモドドラゴンに近づいた観光客が襲われる事故も起きている。
1974年以来これまでに観光客など30人がコモドドラゴンに噛まれる事故があり、5人が死亡しているという。このため現地を訪れる観光客は現地のレンジャーとともに行動し、その指示に従うことが強く求められている。
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