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金正恩が罵倒 文大統領演説

Japan In-depth / 2019年8月19日 18時0分

彼の歴史観は一言で言って、韓国建国には正統性はなく、北朝鮮の建国にこそ民族の正統性が受け継がれているとする歴史観である。この逆立ちした歴史観が、韓国の内政・外交に染み込み、国家を揺るがすまでに至っている。そして韓国を、彼がいう『誰も揺るがすことができない国』ではなく、『誰もが揺るがすことができる国』にしてしまった。「間違った理念」に凝り固まったリーダーが陥る典型的なケースと言える。


ところがより悲劇的なのは、それを自覚していないことである。彼は自身が「逆さまの歴史観」にとらわれて内外から孤立していることは棚に上げ、対立勢力に向かって「理念にとらわれて孤立しないでいただきたい」と演説した。自分のことを顧みず、むしろ居直って相手をこき下ろしている。これこそが「賊反荷杖」(チョッパンハジャン)そのものである。これまでも文大統領は、詭弁とポピュリズムで国民を欺瞞してきたが、今回の演説内容はその典型であったと言える。韓国国民の文大統領演説に対する反応はもちろん芳しくない。


「南北統一で日本を追い越す」との幻想演説


文大統領はまた、「われわれの力で分断を乗り越え、平和と統一へ進む道こそ、責任ある経済大国への近道となります。われわれが日本を追い越す道であり、日本を東アジア協力の秩序へと導く道です」とし、「南北の能力を合わせれば、それぞれの体制を維持しながらも8千万人規模の単一市場を生み出すことができます。韓半島が統一を果たすことになれば、世界第6位圏の経済大国になるとの見通しを示しています。2050年頃には国民所得7万~8万ドル時代を達成できるという国内外の研究結果も出ています」と演説した。


どこから引用した「予測」なのかはわからないが、「予測」の具体的・歴史的前提条件が語られていなかった。根拠を明らかにせずに30年後を語るのは、詐欺師か占い師の世界であろう。あと2年余しか任期が残っていない大統領が世界に向かって話すことではない。


文大統領は演説で「それぞれの体制を維持しながらも8千万人規模の単一市場を生み出す」としたが、水と油の南北体制でどうやって単一市場を作り出すのだろうか?魔術を使って幻影を見せることも無理だろう。


また近い将来何らかの方法で朝鮮半島の統一が実現したとしても、人口増加だけで経済が成長するとの考えも単純すぎる。人口が増えても人々の購買力増加がなければ生産も市場も拡大しない。資本主義経済を経験していない最貧国の北朝鮮と韓国が何の前提もなしに統一すれば、一人当たり国民所得は当然縮小することになるだろう。また価値観の違いを克服しないまま統一すれば社会的混乱も生まれる。資本主義を経て統一したドイツですら、いまも価値観の違いに悩んでいる。世界第6位圏の経済大国どころか、反対に現在の経済力すら失う可能性がある。


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