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金正恩が罵倒 文大統領演説

Japan In-depth / 2019年8月19日 18時0分

数字をあげて検討するまでもない。自由民主主義の価値観でほぼ統一され、法に基づく市場経済が盤石に根をおろし、先進技術に基づく世界第3位の経済大国日本を、南北の統一だけで追い越すなどとする発想は幻想以外の何物でもない。


思いもかけない北朝鮮からの痛烈な罵倒


しかし北朝鮮に向けた文大統領の南北協調のメッセージは、なぜか北朝鮮から罵倒として返ってきた。北朝鮮の対韓国窓口・祖国平和統一委員会は8月16日に発表した談話で、文大統領を「南朝鮮当局者」と呼び、「泰山鳴動して鼠(ねずみ)一匹という言葉がある。まさに南朝鮮当局者の“光復節慶祝の辞”というものを指してそうだと言える」とした。



▲写真 北朝鮮は文在寅大統領の「光復節」演説翌日の16日、新型短距離弾道ミサイルを発射。(写真は2019年8月17日のDPRKツイッターより)出典:DPRK twitter


そして「島国一族(日本)から受けるさげすみをすすぐためのはっきりした対策や、つぶれていく経済状況を打開するこれといった方案もなしに弁舌を振るったのだから、“むなしい慶祝の辞”“精神スローガンの羅列”という評価を受けて当然である」とこき下ろした。そして「部下らが書いてくれたものをそのまま読み下す南朝鮮当局者がとても笑わせる人であることだけは間違いない」と文大統領をあざ笑った。


さらに北朝鮮は、「ゆでた牛の頭も天を仰いで大笑い(仰天大笑)する」「本当に見るもまれな厚かましい人間だ」とののしった。演説直後、日本海に向けて新型短距離弾道ミサイル2発も発射した。5月以降8回目の発射となる。


この対応にはさすがの文大統領も驚いたことたであろう。北朝鮮からの色良い反応を期待していたからだ。また文大統領は金正恩に対して「若いが非常に正直で淡白であり、落ち着いた姿を見せた。年長者を尊重し非常に礼儀正しい姿も見せた」と宣伝していただけに、祖国平和統一委員会からこのような罵倒を受けるとは夢にも思わなかったと思われる。


それにしても北朝鮮が「金正恩第1主義」で突っ走り、北朝鮮政権擁護で一貫してきた文在寅大統領を、なぜここまで罵倒するのか?その本音がどこにあるかは、今の所詳しく把握できていない。多分大口を叩いて開城工団再開や金剛山観光再開、そして南北鉄道の連結を約束したにもかかわらず、米国からの制裁が怖くて、800万ドルの人道支援と5万tの食糧支援でお茶を濁そうとしたことに対する怒りかもしれない。


またハノイ米朝首脳会談の失敗を文政権に責任転嫁するためではないかとの観測もある。ハノイで失った金正恩のメンツは今も完全に回復できていない。多くの幹部を粛清する破目となり、統一戦線部と外務省の立て直しもいまだにできていない。こうしたことがすべて文大統領の二枚舌のせいだとして怒りをぶちまけているのかもしれない。


そうした一方で、米朝会談を前にした戦術ではないかとの観測もある。また短距離ミサイル発射も会談を前にした駆け込み実験ではないかとする見方もある。金正恩の思惑がどこにあるかを押し測るにはもう少し時間がかかりそうだ。


トップ写真:光復節の演説をする文在寅大統領(2019年8月15日)出典:韓国大統領府ホームページ


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