米韓同盟揺らす文政権の頑迷
Japan In-depth / 2019年8月23日 18時0分
トランプ政権のこうしたGSOMIA継続への強い期待はすでに複数の高官によって明確にされていた。だからこそ「懸念と失望」というわけなのだ。北朝鮮の非核化という戦略目標や中国の軍事脅威への対処という観点からも、いまの状況下ではアメリカが日本、韓国の両同盟国との安保上の結束を強めることが超重要だとするトランプ政権全体のコンセンサスは明白だった。その認識からの韓国への期待だったわけである。
トランプ大統領も8月9日、ホワイトハウスで記者団に対し、「韓国と日本はともにアメリカの同盟国なのだから良好な関係を保ってほしい。でないとアメリカを困難な立場に置くことになる」と述べ、関係修復を強く促していた。その関係修復の当面の象徴がGSOMIAの自動延長だったわけである。
▲写真 トランプ大統領 プレスカンファレンス 出典:Flickr; The White House
韓国に対しての同じ期待はマーク・エスパー国防長官、スティーブ・ビーガン北朝鮮特命代表からも直接に表明されてきた。トランプ政権として日韓対立の解消に直接の調停はしないものの、日韓両国がこれ以上、関係を悪化させる措置はとらないことへの期待を述べ、とくに更新期限の迫っていたGSOMIAの延長を韓国側に要請するという動きだった。だが文政権はこのトランプ政権からの二重三重の要請をはねつける結果となった。
ワシントンの有力研究機関「戦略国際研究センター(CSIS)」の朝鮮研究部長ビクター・チャ氏は22日、今回の韓国政府の決定に対する見解を発表した。同氏は二代目ブッシュ政権の国家安全保障会議でアジア部長などを務めた朝鮮半島情勢研究の専門家である。同氏の見解でも韓国への批判が明確だったことが注目される。
▲写真 ビクター・チャ氏 出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
チャ氏の見解の骨子は以下のようだった。
・GSOMIAは北朝鮮の動向に関してアメリカとその同盟国の日韓両国との切れ目のないインティジェンス共有を可能にしてきた。この協定は一度、破棄されると、とくに韓国内の政治的な障害のために、再度、発効させることはきわめて難しい。
・韓国によるこの動きは日本に対する復讐的な措置だが、米日韓の3国の協力を弱めることにより、とくに米韓同盟を弱体化する。
・どんな動きも真空のなかでは起きない。この動きはアメリカの同盟システムに反対している北朝鮮、中国、ロシアを利することになる。
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