岩手県紫波町の稼ぐインフラ
Japan In-depth / 2019年8月24日 11時0分
出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)
「出町譲の現場発!ニッポン再興」
【まとめ】
・役場と民間が連携した、岩手県紫波町の「稼ぐインフラ」。
・オガールプロジェクトは長期的に収入が安定して、自立する仕組み。
・「公民連携」事業を成功へ首長の積極的関与が不可欠。
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「自分の代に立派なホールや野球場を建てたりしたがる方がまだまだたくさんいる。それが本当に住民にとって必要なのかどうか。人口減少の時代に将来的には重荷になり、墓標になる恐れもある」。全国の自治体の事情に詳しいある人物はこう嘆いた。落成式にテープカットするのが、行政手腕だと勘違いしている首長が少なくないという。
そんな首長に見習ってもらいたいハコモノがある。岩手県紫波町のオガールプロジェクトである。「稼ぐインフラ」と言われる、役場と民間が連携した一大事業だ。
「日本一高い雪捨て場」と揶揄(やゆ)されてきた駅前空き地だったが、今では年間100万人ほどが訪れる街に生まれ変わった。
町長から委託を受けた地元の建設会社の岡崎正信が資金調達、建設、運営、管理まで仕切るプロジェクトである。その中核が官民複合施設、オガールプラザだ。紫波町図書館などの公共施設と、産直の紫波マルシェ、居酒屋、カフェ、眼科、歯科などの民間テナントが同居する。私はそこを訪れ、驚いた。平日なのに多くの人々が行き交う。
このプロジェクトの最大の特徴は、補助金に頼っていない点だ。岡崎が腐心したのは、テナント選びだった。町にふさわしく、長くテナントとして入居してくれそうな店を1年半かけて選んだ。大体の家賃収入が見えてきた。当初予定していた建設費では、10年以内に黒字にすることは極めて困難だった。それでは、投資や融資を受けることができない。そこで、建設計画をもう一度見直した。当初予定していた3階建ての鉄筋コンクリートを、木造2階建てにした。建設費を引き下げるためだ。補助金を頼りにした従来の公共事業では考えられない決断と言えよう。
岡崎は持論を展開する。「これまでのハコモノは完成した段階で、終了というパターンが多いが、作ってからがスタート。どうやって稼ぐのか。それが一番大事だ。長期的に収入が安定して、自立する仕組みが大切だ」。
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