可能性に「気付き」、将来を「築く」〜何度でもやり直せる社会を目指して〜(前編)
Japan In-depth / 2019年9月7日 18時11分
安田氏は、「親が4回離婚していて、自分も12歳で家を出てしまっていたり、自分がちゃんとした家庭で育ってないことが大きかったかもしれない。」と答えた。
一方で、論理的に物事を考える安田氏は、何か社会に良いことをする、というフワっとした考えに共感できなかったという。
「よく仕事は貢献だと言うが、それなら本当に貢献してることをやりたいと考えてしまう性格もあった。虐待や中退、鬱で仕事を辞めていたり、自分が社会問題の当事者であったこともある。さらに、”それは何のためにあるのか” というのを考えがちだったのだと思う。」と、はっきりした目的を追求していたことを述べた。
では、実際に活動していく中で今の日本をどう見ているのか。
安田氏は、「中退、不登校のことで言うと、かなり問題が可視化されてきて、NHKが不登校の特集をし、原因が実は学校の先生だったとか分かってきている。」と述べ、教員をアンケート対象にしていた文科省の調査に対し、NHKが対象を子どもにしたことで、今まで浮かび上がらなかった要因が明るみになったことを説明した。
(*参考:東洋経済ONLINE 不登校新聞 不登校は「家庭が原因」?教員と生徒で食い違い NHKによる中学生1968人調査で見えた実態 )
つづけて、「東京は、親も学校に行かなくてもいいと言ってくれるような、親が変にプレッシャーを与える家庭はかなり減っている。地方はまだまだだけど。だから時代としてはかなり良い感じなのかなと思う。」と述べた。
地方と都心間で生まれる差は、以下の3点から来ると安田氏は推測している。
(1) 地方はヒエラルキーがはっきりしている。学校が偉く、勉強のできる子は、だいたい地元の国立大学へ行き、公務員や教員、銀行員などが就職先の選択肢になるという。ヒエラルキーが明確である分、他の道が想像しにくい。
(2) 一方、東京にいると色々な方法で仕事をしている人を目にする機会が多い。良い大学を出て公務員になる人もいれば、ベンチャーを立ち上げて公務員より稼ぐ人もいる。つまり様々な生き方が身近にあるので、学校に行かないという道も想像しやすいということ。
(3) 地方で引きこもると、引きこもりが長引きやすい。近所の付き合いが濃密な分、噂になりやすく、昼に外出できなくなるからだという。
安田氏は、「東京のいいところは、自分の所属するコミュニティを自分で選べるというところ。結構不登校ぎみの子で、東京に出てきて楽になった子は多い。そういう人たちにとっては生きやすい場所だと思う。」と述べた。
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