可能性に「気付き」、将来を「築く」〜何度でもやり直せる社会を目指して〜(後編)
Japan In-depth / 2019年9月9日 11時0分
しかし、ひきこもり生活を20年やってた人にとって、半年以上働くというのはかなりハードルが高い。安田氏は、「うちはファイナンスを教えるので結構高学歴層が来る。就職は他より楽だ。」と述べた。
すると何が起こるのか。
“就職後半年以上働き続けた人”をたくさん輩出している事業所が評価されるようになると、キズキグループが提供しているような支援を誰もがやりたがるようになるのだ。
「つまり、高学歴層ではないけど困難を抱えてる人を助けたくなくなる。(一方で)数字が見えると分かりやすいが、果たしてそこに福祉や教育の価値を収斂させていいのかというのは今後の課題でもある。」と、安田氏は福祉や教育業界の運営の難しさを説明した。
また足立区を例に挙げると、生活保護世帯を支援しようと、区が公民館で勉強会を開いたところ、人が来ない。だから足立区は、生活保護世帯の家庭訪問をキズキグループに依頼している。
安田氏はこれについて、「納税者の立場からすると、生活保護世帯を1千万円で20人支援するのか、100人支援するのか比較した場合、100人支援すべきではないかという人も多いと思う。」と現状を伝えた。
本当に困難を抱えてる人たちが、将来自立してお金を稼いで行けることを目的としているけれど、行政の人たちは、その予算を法律的にどう配分するのか気にかけているという。
安田氏は、「そういう意味で、福祉の世界に法律を持ち込むということ、持ち込みすぎるということ、そこが曖昧なところはあり、その間を今は求められてるのではないか。」と述べた。
今後の展望について、安田氏は以下3点を挙げた。
・今全国7校舎ある塾と、新設したキズキビジネスカレッジスクールをどんどん増やす。
・現在全国で7つの自治体からもらっている仕事を増やしていく。
・社員をもっと雇い、量を増やし支援していく。
「不登校で学校いけない人も、鬱や発達障害で働けない人も、結局何が問題かというと、不登校になったり鬱病で会社行けないと将来が終わる、という価値観があることだ。その価値観を変えるには、同じ状況から抜け出した人が社会に溢れ出すこと。すると、同じような人がたくさんいるから、別にたいした問題はないと思える。」と、安田氏は人々の価値観を変化させ、支援する方針を示した。
また、安田氏は鬱や発達障害の人の為の結婚相談所もやりたいと語った。
「今までの福祉は、働く為の支援はやってきたが、家族をつくるなどのプライベートな支援を何もしていない。あとは、移民や難民を含めた支援など、いろんな妄想があるが、まずは今あるものをどんどん大きくすることに力を使っていく。」と、海外へも視野を広げていることを話した。
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