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「別府のマネするな」由布院の改革者

Japan In-depth / 2019年9月9日 18時0分

 


ドイツには、洗練された公園と美しい町並みがあった。花が咲き、小鳥がさえずる。この町では、静けさを守るため、深夜と昼下がりには車を締め出し、質の高いサービスを行っていた。由布院の目指すべき町だと実感した。さらに、小さなホテルのオーナーの言葉は由布院のまちづくりの方向を決定づけた。


 


「町にとって最も大切なモノは、『緑』と『空間』と『静けさ』です。私たちはこの3つを大切に思ってきた。私たちは100年かけて、町のあるべき姿をみんなで考えてきた。君たちは、まちづくりを始めたばかりだが、君らはそのために、何ができるのだ」


 


中谷はその後、ずっと由布院でまちづくりにかかわる。牛食い絶叫大会、音楽祭、映画祭など手作りでイベントを仕掛けた。


 


「まずは面白いと思うことをやりました。自分が面白いと思わなければ、他人にも面白さが伝わりません」。まちづくりの要諦は「面白がること」という。



▲ 中谷氏 出典:著者提供


中谷は滞在型を提唱する。「客さんが街の中を歩き始める。歩き始めると新しいお店ができる。そして町は自動的に活性化していく。旅館が宿泊客を囲い込んでいたら、町全体が収縮します。町全体が人を受け入れているのであって、旅館はそのごく一部に役割を担っている。それが僕の目指してきた町の姿です」


さらに「旅館は宿泊に特化し、仕出しや料理店でおいしいものを食べ、散策してアートを鑑賞し、本を読み音楽を聴く。いろんな楽しみの仕掛けが町にあったほうが活性化につながる」と続ける。自分の旅館で料理を食べなくてもいいと言い切る。狙いは、地域全体の底上げだ。


 


その中谷が灯した松明は今も引き継がれている。由布院を歩くと、中谷のDNAは至る所にある。前回お伝えした、著名料理人、新江憲一は、地域の料理全体のレベルを底上げするため、レシピを共有化した。「僕は健太郎さんからバトンを渡された。四苦八苦していますが、健太郎さんらが火をつけた流れは変えてはいけません」と語る。


 


岩男、中谷、新江・・・由布院の町には、世代を超えた改革の「魂」が宿る。それが共感を呼ぶ。ハコモノで観光客が訪れるわけではない。


トップ写真:由布院 出典:著者提供


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