前FBI長官が内部文書盗用
Japan In-depth / 2019年9月10日 0時59分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・コーミー前FBI長官は「ロシア疑惑」に関する内部文書を盗用。
・New York Timesはこの内部文書を元に「ロシア」疑惑記事を掲載。
・コーミー氏はトランプ大統領追い落としを図っていたと推測される。
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アメリカのトランプ政権をめぐる「ロシア疑惑」で大統領追及の先頭に立ったジェームズ・コーミー前FBI(連邦捜査局)長官が退職時にFBIの内部文書を無断で持ち出し、ニューヨーク・タイムズに秘密裡に流していたとする公式報告が司法省監察総監から8月末に発表された。
議会ではコーミー氏のこの行動を「現職の捜査当局責任者が政治活動のために公文書を盗用し、悪用した」として、改めての責任追及の動きも起き始めた。「ロシア疑惑」が政治的な工作だったことを裏づける新たな証拠の発覚ともいえそうだ。
FBIを管轄下におく司法省の監察総監は8月29日、「ジェームズ・コーミー前FBI長官はFBI内部の公文書を勝手に持ち出して、私的な用途に使ったことにより重大な規則違反を犯した」という内容の監察報告書を発表した。
同報告書によると、2017年5月9日にトランプ大統領により解職されたコーミー氏はFBI長官として自分が作成した同大統領との会話内容を書いた記録書(メモ)7通のうち4通を当局には届けず、自宅に持ち帰った。この記録書はトランプ大統領が2016年の選挙期間中にロシア政府機関と共謀して票を不正に操作したという「ロシア疑惑」に関して、民主党支持者としてその「疑惑」を追求しようとするコーミー氏と、その疑惑を一切、否定するトランプ氏との直接の面会や電話でのやりとりのメモだった。
監察総監の報告書によると、コーミー氏は退職後、FBI係官から2回もの自宅訪問を受け、書類の有無を問われたのに対して、それら書類を自宅に保持していながらも、それを否定した。
同時に不正に保持する4通のうちの1通を知人を通じてニューヨーク・タイムズにひそかに届けた。同紙はその記録書の内容を基にトランプ大統領には「ロシア」疑惑のクロの状況が濃いという趣旨の記事を載せたという。
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