米vsイラン、危機打開なるか
Japan In-depth / 2019年9月18日 18時1分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019#38」
2019年9月16-22日
【まとめ】
・サウジ石油施設攻撃はイスラム革命防衛隊の米イラン対話潰しか。
・世界経済揺るがす可能性は低いが、米国の軍事的出方が鍵。
・「歴史的」会談望むトランプ氏、対イラン報復は躊躇。
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先週は珍しく日米欧の識者が一堂に集う国際会議に参加してみた。東京三極フォーラムと名付けられたこの会合、米シンクタンク、-ジャーマンマーシャルファンドと東京財団政策研究所との共催だった。場所は在京EU代表部、麻布の高台にある素晴らしい建物だ。この模様は産経新聞とJapanTimesに書いたので御一読願いたい。
とにかく、この種の集まりに顔を出すのは数年ぶりだが、恥ずかしながら、その間に日米欧関係は大きく様変わりしたようだ。それでも、特に中国について、日米と欧州の間の温度差は決して小さくなかった。しかしながら、というか、だからこそ、日米欧三極連携は極めて重要なのだと改めて痛感させられた。
▲写真 東京三極フォーラム 出典:Facebook 駐日欧州連合代表部
今週の筆者の最大関心事は、実は、この三極フォーラム ではない。中東で長年恐れていたことが、遂に現実のものになってしまったからだ。サウジの石油施設が10機の無人機に攻撃され、炎上しただけでなく、一時的ながらも、サウジアラビア石油生産量の半分以上に当たる約570万B/Dが止まったのである。
これでも筆者は中東屋のはしくれ、とても無関心ではいられない。だが、日本を含む西側諸国とサウジアラビアには1-2か月分の原油備蓄があるはず。幸い石油の需給もこのところ逼迫しておらず、ある程度油価が上がれば、米国シェールオイルの生産量も増えるだろう。
実のところ、石油専門界の間でも意見は割れている。筆者の見立てでは、湾岸地域でこれ以上戦闘が拡大しない限り、今回の事件が世界経済を揺るがす可能性は低いのではないか。逆に言えば、油価は常に「平時にはマーケットで、有事には政治的に決まる」のであり、やはり、今後の米国の軍事的出方がカギになるだろう。
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