1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

女性に照準、玉造温泉復活劇

Japan In-depth / 2019年9月19日 19時56分


▲写真 筆者提供


さらに驚いたのは、通りを歩くと随所に見掛けたお金をもうけるシステムだ。例えば、無人で温泉のお湯を販売する一角。温泉が湧き出る水飲み場のようなところに、小さなボトルが置いてある。ボトルに入れて温泉を持ちかえれば、料金は200円。人件費もかからない販売所である。ボトルの原価が80円でこれだけで120円のもうけである。年間では1200万円の売り上げになる。



▲写真 筆者提供


街の中心部を流れる小川のほとりには、小袋に入ったコイのエサが置いてある。料金は100円。貯金箱のような箱にお金を入れ、えさを購入する観光客は後を絶たない。橋の上では、スマホを置く台が設置されていた。そこで若いカップルが笑顔で立ちVサインを出していた。


「何か大きなことをやったわけではありません。地道にコツコツできることをやったのです」


最大の収益源は、温泉の湯を使った石けんやハンドクリームなどの販売店だ。この店を含めて四つの店を出し、収入は総額3億円以上になる。地域の住民がもてなすボランティアの報酬もそこから支払われる。


 


■ 「願い石」に光


そして角が案内してくれたのは玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ)である。温泉街のシンボルのようなお宮だ。「かつては年間100人の参拝者でしたが、今では20万人です」。


そこには巧妙な仕掛けがあった。昔から奉られていた石を「願い石」とネーミング。その石を触って祈れば願いがかなうというストーリーをアピールした。


「観光客が行きたくなるような目的地を作ることにしました。ハコモノは予算ばかりかかり、どれほど効果があるか分からない。そこで、地域の観光資源である玉作湯神社をプロデュースしたのです」。


この神社は想像以上の、力の源泉となる。20万人が参拝する神社があれば、観光客の動線ができる。自然と出店が相次ぐ。そんな好循環を実現したのだ。「かつては補助金で出店する店がありましたが、補助金の期間がすぎると、ほとんど撤退していました」


私は角の話を聞きながら思った。重要なのは、現場から湧き出た改革の志、そして夢のあるストーリーを紡ぐ努力である。従来の常識を壊す勇気が必要である。玉造温泉は、模倣をせず、独自の美肌の湯を目指したことが成功の要因だ。(敬称略)


トップ写真:美肌温泉ボトル 出典:玉造温泉Facebookページ


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください