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アルゼンチンにデフォルト再来懸念

Japan In-depth / 2019年9月21日 18時0分

 


■ 左派候補当選の可能性は「80%」


マクリ大統領は予備選での敗北後、人気挽回を図るべく最低賃金の引き上げや200万人の労働者を対象とした減税、公務員への一時金支給など緊急政策を打ち出した。


しかし、これらは同大統領自らが否定してきたポピュリズム的政策であり、「大統領が選挙目当てに従来の方針をあっさり捨て去った」と厳しい批判を浴びる始末。加えてマクリ大統領の政策転換を批判して財務相が辞任するなど混乱に拍車をかける結果を招いた。


今後の焦点はマクリ大統領が劣勢をはね返し大統領本選で逆転勝利できるかどうかだ。


ブエノスアイレスの有力政治アナリストの多くは「本選挙までに予備選での15ポイントの差を縮小させるのは大統領陣営にとってほぼ不可能」」と否定的。一部現地メディアの中には「野党フェルナンデス候補の当選は80%確実」と予想するところもある。


 


■ 貧困層優遇の野党副大統領候補の動向に注目


アルゼンチンの多くの経済アナリストがほぼ一様に指摘するのは、左派のフェルナンデス元首相率いる政権が誕生すればバラマキ政策が実施される可能性が高いという点だ。というのも、フェルナンデス氏は副大統領候補として貧困層優遇策を強引に進めたクリスチーナ・フェルンナデス前大統領を擁しているからである。ただし、両者の間に血縁関係はない。


クリスチーナ・フェルナンデス前大統領は自由貿易の制限や資本・為替規制といった保護主義路線の下、価格統制や各種補助金拡大などさまざまなバラマキ政策を実施し、「膨大な財政赤字を生み出した張本人」(アルゼンチン有力経済紙)とされている。



▲写真 クリスティーナ・フェルナンデス前大統領(2019年9月8日)出典:Cristina Fernandez de Kirchner facebook


前大統領は当初、大統領候補として立候補する考えだったが、政権担当時代の汚職容疑などで起訴されたため、今回の大統領選ではフェルナンデス元首相を大統領候補に推薦、自分は副大統領候補に回ったといわれる。だが、両コンビの力関係では圧倒的にクリスチーナ前大統領の方が強く、実権を握っているとの見方が有力。「左派の新政権が誕生した場合、それは彼女の傀儡政権になる」(在ブエノスアイレス外交筋)と見る向きが圧倒的。


 


■ 「デフォルトの悪夢」再現の恐れも


「アルゼンチン経済が悪化する中、財政健全化を度外視するようなバラマキ政策が新政権下で実施されれば信用不安が起きる」(ブエノスアイレスに支店を置く日本商社幹部)との懸念の声が多く聞かれる。


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