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トランプ弾劾が成立しない訳

Japan In-depth / 2019年10月2日 11時0分


▲写真 ビル・クリントン元大統領(2016年) 出典:Flickr;Gage Skidmore


9月下旬の世論調査では弾劾措置への賛成と反対がともに43%という結果が出たが、賛否同水準でも、弾劾が明らかに失敗に終わったという段階ではその攻撃を仕掛けた側への一般の反感が高まるとも予想される。


第二は民主党のいまの大統領選での最有力候補バイデン氏への打撃である。


「ウクライナ疑惑」とはそもそもバイデン氏の息子のハンター氏にかかわる黒い容疑だった。


バイデン氏もオバマ政権で副大統領だったころ、ウクライナの時の検事総長の辞任を求めたという報道もある。これからの弾劾調査でアメリカの政権とウクライナとの関係を調べれば、トランプ政権にかかわる疑惑とともに、バイデン氏親子にかかわる疑惑に光があたってしまうことは不可避といえる。


ワシントンの共和党系消息通の間では「今回の弾劾はじつはバイデン前副大統領を民主党予備選で蹴落とすことを狙った陰謀なのだ」と観測する声もあるほどなのだ。バイデン氏はこれまで2020年の大統領選ではトランプ大統領を倒せる唯一の候補などとも目され、期待も大きかった。その状況がトランプ大統領に対する弾劾調査で変わりうるのである。


第三は弾劾手続き終了後のトランプ支持勢力の結束である。


今回の弾劾措置が来年の大統領選挙と密接にからみあっていることは明白である。民主党側が弾劾措置でトランプ支持層を切り崩し、大統領自身への黒の印象を濃くしようとする意図は歴然としている。



▲写真 スピーチをするトランプ大統領 出典:Flickr; Gage Skidmore


だが逆に上下両院での弾劾の調査や審議が終わり、トランプ大統領の辞任案が完全に否決された場合、同大統領がこの戦いでの勝者として一般に認識される見通しが強い。「不当に叩かれたけれども勝者になった」という印象が本来のトランプ支持層の結束をさらに高め、中間層の支持までも増すというシナリオも十分に考えられるわけだ。この展開は民主党にとって明らかに「弾劾のブーメラン」となってしまう。


以上のようにトランプ大統領に対する弾劾の動きにはじつに多様な要素がからみあっているのである。その多様性をみる複眼思考が重要だといえよう。


トップ写真:トランプ大統領 出典:AIR NATIONAL GUARD


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