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村上世彰「投資教育」の狙い

Japan In-depth / 2019年10月3日 21時14分

村上世彰「投資教育」の狙い


出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)


「出町譲の現場発!ニッポン再興」


【まとめ】


・元投資ファンド村上世彰氏は「投資」の授業を行う。


・貯蓄の美徳が日本経済を停滞させる。


・村上氏は「投資教育」の重要性を広めている。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=48219でお読み下さい。】


 


その男の風貌は大きく変わった。村上ファンドの元代表、村上世彰(よしあき)氏である。


「モノ言う株主」として大手企業の経営者が恐れていたが、今では、笑顔の絶えない好々爺といった風情だ。


村上はシンガポールに在住している。現地で不動産開発などを手掛ける。そんな活動の一方で、村上には別の姿がある。高校の教壇に立っている。この高校は、出版大手カドカワ傘下の通信制高校のN高校だ。


村上はN高の投資部の特別顧問という肩書だった。教壇では、身振り手振りを交えながら、訴える。「お金があれば、多くの人を幸せにできる。部活動で利益を得た場合も、何かを買いたいというよりも、こういう人を幸せにしたい。そんな使い道を考案してほしい」。



▲写真 村上氏(右)と著者 出典:著者提供


投資部で、村上は高校生に、投資資金を無償で提供する。N高のすべての生徒1万人から希望者を募り、「投資部」のメンバー50人を選ぶ。投資資金として20万円ずつ、合わせて1000万円を自らの資産から出す。それを元手に部員は、村上氏のアドバイスを受けながら、株式投資を行う。損失はすべて村上氏の財団がカバーする。利益が出た場合は、高校生自らが使い道を決める。生徒に対しては、最大100万円まで投資資金を増やす。


N高の生徒だけではない。村上が今年1月から始めたプロジェクトはさらにスケールが大きい。全国の中学生、高校生を対象に1人10万円ずつお金を出す。最大で100万人、総額1000億円出すことが目標だ。全財産を使いきってもいいと公言する。


村上は身銭を切って、子供たちに投資の重要性を伝えたいと、考えている。


なぜ、投資教育にこだわるのか。


「日本の現状考えると、400兆ぐらいのお金が企業の中に内部留保、剰余金として寝ている。お年寄りのところには、ものすごいお金が溜まっているが、使われていない。このお金が使われるようにならないと経済の活性化はない」


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