島根県海士町再生、首長の覚悟
Japan In-depth / 2019年10月6日 23時0分
出町譲(経済ジャーナリスト・作家、テレビ朝日報道局勤務)
【まとめ】
・島根県海士町、町長の信念に職員と住民の意識が変わる。
・「儲ける」意識と「本気の支援」で海士町へのIターンを促進。
・リーダーの覚悟で「外」からお金と人材の獲得に成功。
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地方自治体は、首長次第で決まると思う。信念のある首長が旗を掲げ、改革できるかどうか。それが、まちを活気づけ、将来を決定づける。
人口減少社会においては、トップ自らが身を律し、「あれか、これか」の厳しい判断を下す必要がある。反対があっても、「率先垂範」で、信念を貫くのが大事だ。「あれも、これも」「広く、あまねく、皆様に」という“八方美人型”では、地域の衰退を招く。地方の財政赤字は、こうした首長の性格が原因となっている。
「あれか、これか」。厳しい判断を下す首長と言えば、島根県隠岐諸島にある海士町で町長だった山内道雄を思い出す。去年5月、4期16年を終え退任した。
私は退任前、山内道雄と話す機会があった。借金101億円。北海道の夕張市同様に、破たん寸前と言われていた離島の町を立て直した人物だ。
2002年に就任した町長としての最大の政治課題は、どう借金を返すかだった。「財政破たん寸前でした。住民サービスが今後低下する恐れがある。住民の理解を得るには、私自身がまず本気にならねばならない。給料30%カット、町長が乗る公用車もやめました。ただ、職員には、給料の引き下げを求めませんでした」
▲写真 島根県海士町 山内道雄元町長 出典:著者提供
いきなり役場の幹部会議で宣言した。それから10日あまり。夜に町長室で仕事をしていると、当時の総務課長からの電話があった。「すぐに飲み屋に来てください」。
店に顔を出すと、役場の管理職が全員集まっていた。「町長と同じように給料を下げたい」などと迫られたが、山内は取り合わなかった。しかし、その翌日、管理職の面々が再び町長室に集まった。そこで、当時の総務課長は、「僕たちも町長についていかせてください」と頭を下げた。
山内は語る。「本気だったのです。涙が出ました」。その年30%、翌年度50%まで給料を削減した。一方、職員も役職によって、削減幅は違うものの、給料を下げた。年功序列もなくした。
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