ウォーレン人気は続くのか?
Japan In-depth / 2019年10月11日 11時34分
では、なぜウォーレン候補の人気上昇なのか。
この原因は少なくとも二つある。いずれも同候補自身の新たな前進というよりも、ライバル候補たちの後退だといえる。その点では消去法的な前進なのである。
▲写真 前副大統領のジョセフ・バイデン候補(2019年8月21日 Altoona, Iowa)出典:Flickr; Gage Skidmore
第一は民主党によるトランプ大統領に対する弾劾手続きの、いわゆる「ウクライナ疑惑」でバイデン前副大統領の名前がキーワードのように再三,指摘され始めたことである。
バイデン氏の息子のハンター氏がウクライナのガス関連企業と密接なかかわりを持ち、不正な行動をとった疑いというのがトランプ大統領のウクライナ側への捜査の要請につながったわけだ。民主党が不当だとして追及するのはあくまでトランプ大統領の言動だが、そのプロセスで「バイデン副大統領とその息子への疑惑」が繰り返し指摘されるのだ。同候補への支持率が下がるのも自然だといえよう。
▲写真 現上院議員のバーニー・サンダース候補(2019年8月21日 Altoona, Iowa)出典:Flickr; Gage Skidmore
第二は、サンダース候補がつい最近、心臓疾患で倒れ、手術を受けたことである。
サンダース氏は前回の2016年の大統領選挙に立候補して、最終的に民主党の指名を獲得したヒラリー・クリントン候補に対して最後まで善戦した。今回も早い時期から予備選への名乗りをあげ、若者主体の全米規模の選対組織を築いて、積極的なキャンペーンを展開してきた。だが現在78歳という年齢もあって、ここへきて倒れたわけだ。サンダース候補の病状はよいとされているが、それでも支持率の低下を招くことは避けられなかった。
こうした経緯からウォーレン候補が民主党の予備選の先頭走者となったことは、民主党全体としては必ずしも歓迎できる事態ではない。なぜならバイデン氏は数多い民主党候補たちの間でも先頭の3候補では最も穏健な政策を掲げ、民主党の中道、穏健層から無党派層まで幅広い支持が見込まれてきたからだ。トランプ大統領との一対一の対決での世論調査の支持率でもバイデン候補がより高い数字を記録することもあった。
そのバイデン候補後退の現象がウォーレン候補の躍進を招いたとなると、民主党全体としては懸念の材料も多いこととなる。
さて、ではウォーレン候補とはどんな政治家で、どんな政策を掲げているのか。
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