仏、警察内部にテロリスト?
Japan In-depth / 2019年10月12日 12時21分
一発目は上半身に発砲したが、それでも前進は止まらなかった。後ずさり、壁にぶつかり追い込まれ、容疑者の前進を止めるためにもう一度撃つことを決めた。そして2発目を腹部に発砲。容疑者が地面に崩れ落ちた...その後、中庭に他の共犯者がいないかをそこら中探したという。
容疑者の射殺後、その若い警察官は、PTSDの発症予防または症状軽減するための緊急事態ストレスマネジメントの職員からの対応を受けた。ショックを受けていた。最初はお世話になった教官と話がしたいと言ったがそれはかなわず、ニームの警察学校の長官に電話をかけ自分が行った行為は正しかったかを確認した。長官からも決められた手順で行われたかの質問がされ、最終的には、よくやったとの言葉で会話は終了したのだ。
■ 事件後の報告
事件直後は、警察労働組合のクリストフ・クレピン氏は地元ラジオに対して、容疑者と上司の間に問題があったようだと話し、容疑者と面識があったというクレピン氏は、「これはテロ事件だとは思わない」との見方を示していた。
カスタネール内相も「容疑者の過激化を示す情報は一切なかった」とメディアに伝えた。また、庁舎内への刃物の持ち込みに関しても「職員の手荷物検査は一般企業と同様、行われていなかった」とも伝えている。
しかし、数日経って、事態は一変する。
容疑者は2008年にイスラム教に改宗したあとひげを伸ばすなど風体もかわり、厳格なサラフィー主義者と交流があったことが分かったのだ。また2015年のパリ同時多発テロの犯人に理解を示しており、何人かの同僚からそういった報告も受けていたという。
しかしカスタネール氏が受けた報告では「模範的な職員」と言われていたほどであり、職場で問題を起こしたことはなかったため監視などの措置は取られなかったという。また、他にも過激組織「イスラム国」の動画が保存されていたUSBメモリーも事務所から発見された。そこには十人ほどのの警察職員と連絡先もあったと言われている。
イスラム過激派と接触していた疑いが浮上し、カスタネール氏が容疑者の過激化を「知らなかったはずがない」と非難され、内相の辞任を求める声が野党を中心に高まった。その後、メディアも一斉に激しい批判を繰り広げたが、過激化の兆候については「差し迫った危険性の情報はなかった」と述べ、事前の把握が困難だったことなどを含む対策の甘さがあったことを認めたが、カスタネール氏は辞職を否定した。
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