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日本のEEZ主張は説得力なし

Japan In-depth / 2019年10月15日 22時46分

その点で政府による大和堆は日本EEZは完全無欠の主張ではないのである。



▲図 EEZの重複「日韓漁業協定水域図」− 大和堆は日本と韓国・北朝鮮から200マイル以内にある。相互のEEZ主張が重複している。そのため日韓では暫定水域としている。出典:鳥取県HP「新日韓漁業協定の内容」より


 


■ 漁業協定未締結と既得権


また、日本は大和堆で北朝鮮漁業を完全排除できるかも怪しい。


なぜなら協定未締結や既得権の問題も伴うためだ。


EEZが膾炙したのは最近の話である。「沿岸200マイルの漁業・海底資源は沿岸国の所有である」 この考えが一般化してから50年は経っていない。


そしてEEZ以前は領海外は漁業自由であった。今回の大和堆もそのような場所だ。EEZ以前には日本漁船にも北朝鮮、韓国、ソ連の漁船にも開かれた海であった。*


この経緯からすれば単純な囲い込みはしがたい。EEZを設定する際には沿岸国の漁業には配慮をする必要がある。特に境界近くの漁場に関しては既得権として入会を認める必要もある。


本来、大和堆漁業について日本は自儘にできない。仮に日本EEZに含まれても一方的に振る舞えないのだ。


本来は漁業協定に類した話し合いが必要だ。沿岸国である北朝鮮漁業もそれなりに配慮する必要がある。その調整を経なければ一方的な漁業排除はできない。


だが、日本は北朝鮮とは取り決めをしていない。国交もなく政府間交渉もない。


この点でも日本主張は完全無欠ではない。仮に大和堆が日本EEZ内にあっても北朝鮮に既得権を主張されうる立場にあるのだ。


 


■ 竹島基点の可能性


付け加えれば基点の問題もある。今回のEEZ主張は竹島基点としている可能性もある。政府は厳密な事件発生地点を示していない。その点で可能性は払拭できない。


もし、そうであれば日本主張は一人よがりとなる。北朝鮮も同様に独島つまり竹島基点のEEZを主張できるからだ。


竹島は日韓の領土係争地域である。韓国は「独島は慶尚北道に属する。慶尚北道は大韓民国に属する」と主張している。


その点で日朝の領土係争地域ともなる。北朝鮮は自身を朝鮮を代表する政府と主張している。「独島は慶尚北道に属する。慶尚北道は朝鮮に属する」ともなるのだ。


EEZが竹島基点なら日本主張の説得力はさらに落ちる。係争地域での牽強付会でしかないためだ。



▲写真 竹島 − 仮に日本主張が竹島基点とすれば説得力は全くなくなる。日本と韓国の係争地である。つまりは日本と北朝鮮との係争地でもあるためだ。出典:WIKIMEDIAより「The Liancourt Rocks viewed from the North」(CC BY-SA 2.0 KR)


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