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尾道空き家再生プロジェクト(下)行政を巻き込む

Japan In-depth / 2019年10月21日 18時33分

尾道市では全国に先駆けて「空き家バンク」の制度を導入していた。しかし、エクセルの一覧で紹介されているだけであまり機能していなかった。


行政が手掛けるには限界があった。「行政は基本的には平日の午後5時半までです。移住を希望する人は、勤務のない土日に訪問するケースが多いのですが、行政ではそうした人に対応できません」。


豊田の強みは、足で情報収集をしている点だ。空き家のきめ細かな情報とネットワークをベースに、移住希望者のニーズに合わせた。ただ、仲介手数料は取らない。民間の不動産会社の経営を圧迫したくないためだ。単に紹介するだけではない。低価格の料金でトラックを貸したり、左官道具を提供したりもする。いざ移住の段階になれば、引っ越しや改修の手伝いもできる。


ほとんど機能していなかった空き家バンクが動き始めた。現在は80戸以上も契約にこぎつけた。


「尾道空き家再生プロジェクト」が尾道市から受託している空き家バンクは登録者800人以上もいる。空き家活用としては全国でも有数の規模だ。


尾道三山の斜面にある建物1200戸のうちおよそ100戸の空き家を解消した。まだ300から400戸は空き家がある。豊田は今後も空き家再生に汗を流すつもりだ。


「ハコモノの再開発や道路整備に力を入れる旧来の行政の手法では、空き家問題は解決しません。自分の住んでいる町の良さを見つけ、見直すのが第一歩です」。


全国で空き家は800万戸を超えている。少子高齢化に伴い、今後も、増え続けるのは避けられない。豊田流の「巻き込む力」はいっそう輝きを増すだろう。


(全2回。上はこちら)


トップ写真:尾道の街並み 出典:flickr:hoshner sigmaniax


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