フランスでヴェール論争再燃
Japan In-depth / 2019年10月22日 16時9分
ライシテを尊重するフランスでは、こういった言葉に賛同する人が多いのかと思われるこかもしれないが、反対に、多くの議員からブーイングの嵐が起こった。
「ファシストだ。」
「あなたは法律を知らないだけだわ。」
また、議長自身もその議員に対して憎しみを助長させる発言として抗議を行った。
ヴェールを取ることを要請された子供の付き添いに来ていた母親は、慰めにきた子供を抱きしめキスをした。その様子は象徴的な場面としてフランス中に拡散された。母親は大きなショックを受け、議会のトイレで泣きはらしたと言う。後日、「暴行」と「増悪の扇動」の容疑で、発言した議員に対し弁護士を通して訴えた。
法律の観点から言えば、フランスは初めてヴェール論争が起こった国であり、一般にヴェール禁止法と呼ばれる学校内でのヴェール着用の禁止に関する法律を2004年に制定した最初の国だ。また2010年には、路上や公共の場で顔を隠すことを禁止した。
しかしながら、議会は学校内ではない。しかも、ヴェールは顔のほとんどを隠すタイプではないため、公共の場であっても法律にはなんら違反していない。しかも、2013年には、最高裁判所としての役割を持つコンセイユ・デタにて、両親に対しては、学校内の職員に課している規則は適応しないと判断を下している。要するに、校外学習に付き添いに来ている親がヴェールをかぶって議会を見学に来てもなんの問題もないと言うことなのだ。
しかし、ジャン=ミシェル・ブランケール教育相は、こう述べる。
「校外学習の付き添いの親が、ヴェールをかぶることは違法ではないが、しかし、ヴェールは望ましいことではない。」
▲写真 ジャン=ミシェル・ブランケール教育相 出典:Flickr; MyScienceWork
この出来事は、本当に多くの論争を巻き起こした。各局の番組内でもヴェール着用について議論が展開され、出来事が起こってから5日で各局、LCI : 42件 CNEWS : 24件,BFMTV : 13件 France info 6件のかなり多くの議論が行われた。このことからも、最初の問題から勃発から30年たった現在でも、ヴェールに関する問題は、フランスの大きな関心事となっていることが見て取れる。
発端となった発言をした議員はツイッター上でも発言を続ける。
「私たちの共和国とライシテの原則のもとに、私は議長 @MarieGuiteDufay に学校の付き添い者に対してムスリムのヴェールを取り除いてもらうことを求めました。4人の警官が殺された後、我々はこの共同の挑発を容認できません」
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