フランスでヴェール論争再燃
Japan In-depth / 2019年10月22日 16時9分
4人の警官が殺されたと言うのは、10月3日に起きたパリ・警視庁本部で起きた男性職員による同僚4人の殺害事件である。テロである可能性が疑われている。(参考 仏、警察内部にテロリスト? 投稿日:2019/10/12)この事件後、RNのマリーヌ・ルペン党首は無秩序な移民政策のせいで、イスラム原理主義が広がっていることを懸念していた。
2020年3月に地方選を控え、移民政策とテロを結びつけて支持につなげる構えを見せたのだ。そして、今回のヴェール問題がおきた。この好機はルペン氏は逃すことなく考えを表明している。
▲写真 マリーヌ・ルペンRN党首 出典:Wikimedia Commons; Foto-AG Gymnasium Melle
ルペン氏は、「ヴェールはただの布切れではなく、イスラム過激化の印でた。…女性の自由はまだ確立されていないため、後退することもありえる。ゆえに、フランス社会は制限を設けるべきであり、校外学習の付き添いをする場合は、ヴェールは禁止するべきだ。」
エドゥアール・フィリップ首相は、「校外学習時に、付き添いをする場合にヴェールをかぶることは法律で禁止されておらず、また、今、その法律を作るべき時期でもない。」と、この論争に歯止めをかけたい意向を示している。
その翌日にエマニュエル・マクロン大統領は、「コミュノタリズムと、過激化と、ライシテを関連づけるべきではない。コミュノタリズムはテロリズムではない。コミュノタリズムに対して妥協はしないが、同じ国の人を刺激するべきではない。」とし、マクロン氏は、大統領就任演説時に述べたように、分断したフランスを一つにすることを目標としており、国が分断する方向に進むことは望んでないことを示した。
さらに「分断を招きかねない状態を作り出すのは、ルペン氏がやろうとしていることであるが、私たちがやろうとしていることではない。」と続けたのだ。
この結果、狂信的な盛り上がりは収まりつつあるが、それでも、議論はまだ完全に収集しているわけではない。ヴェールを外すことを要求された母親には同情の声も大きく集まったが、一方でフランスのPTAともいえるFCPEの調査では、66%が学校の付き添いの親はヴェールをかぶるべきではないという結果もでている。
この出来事は、ヴェールに関してみてもまだまだフランスは分断しており、マクロン大統領もだが、歴代の大統領がなんとか修復しようとしてきた問題ではあるが、溝はまだまだ深いことを改めて浮き彫りにしたともいえるだろう。
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