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残留派に「白馬の騎士」現る ブレグジットという迷宮 その2

Japan In-depth / 2019年10月27日 18時0分

英国の階級社会にあっては、バスの運転手は労働者階級だが、タクシー運転手は(非常に難しい試験をパスしなければならないため)資格を持った下層中産階級と見なされる。


零細個人事業主や自営農民が同じく仮想中産階級と位置づけられるが、こうした層は、昔から保守党支持者が多い。一方、公立学校教師や現業などの下級公務員は労働党の大きな支持基盤を構成している。


「中産階級の利害を代表する保守党と、労働者階級の利害を代表する労働党」というのが、かの国の二大政党制について広く信じられている定義だが、これも厳密に言えば正確さに欠けるわけだ。



画像:John Simon Bercow(ジョン・バーコウ氏) by flicker JULIAN MASON


ともあれ少年時代のジョン・バーコウは、マーガレット・サッチャー元首相の地盤であるフィンチリー選挙区で育ったことから政治的関心を深め、保守党右派の青年組織である「マンデー・クラブ」に加入した。しかしその後、エセックス大学に進学し、保守党学生協会のリーダーとなった頃から、前述の組織については、「社会的弱者への差別発言が横行するなど、政治団体のあり方として不適切である」などとして批判を強め、最終的には脱退。後には国会議員はマンデー・クラブに参加しないよう呼びかけるなど、リベラル色を強めていった。


1997年に保守党から下院議員に初当選し,議員生活をスタートさせたが、2000年代に入ると、同性愛者の権利を擁護するなど「保守党内で、もっとも声高な社会自由主義者」と評されるようになり、多くの有権者が、いずれ労働党に鞍替えするつもりだろう、と考えるまでになった。


結局それは実現しなかったが、2009年に下院議長に選出されて以降は「本籍」である保守党よりも、労働党議員から支持されていたことは事実である。


彼を一躍、世界的に有名にしたのは、2017年に米国のトランプ大統領が英国を訪問した際、慣例であった議会での演説を阻止してしまったことだ。いわく、「英米の友好関係はこの上もなく重要だが、この英国議会という場においては、人種差別と性差別に強く反対する意志を示すことは、もっと重要だと信ずる」


これを受けて、ただちに発言を求めた労働党の幹部が、「評価はただ一言。Well done〈よくやった〉」と述べ、拍手喝采となった(ただし主として野党席)のである。


他にも、黒い法服(ガウン)の下は半ズボンにタイツという伝統的な衣装ではなく普通のビジネススーツだったり、帰宅はセーター姿など「独自路線」を貫いていた。


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