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前国民投票、世代間で認識に差     ブレグジットという迷宮 その3

Japan In-depth / 2019年10月31日 11時0分

 


すでにわが国でも知られる通り、現在の保守党政権は少数与党なので、ジョンソン首相が一度はEU側の合意を取りつけた離脱案も、あっさり否決されてしまった。


 


日本人好みの言い方をすると、彼に突きつけられたのは、合意なき離脱も辞さぬという大義に殉じて自決する(もちろん、政治的にという意味だが)白虎隊の道か、ひとまず隠忍自重して他日を期すという赤穂浪士の道か、この二者択一であったわけだ。


 


私としては、再三述べてきたように、五分五分よりもやや高い確率でもってジョンソン首相は政権を投げ出し、解散総選挙が「事実上、再度の国民投票実施」となり、言わばなし崩し的に離脱撤回となるのではないかと考えてきた。これは意外と気づかれていない論点だが、英国内で行われた国民投票でどのような結果が出ようと、それがEUの意志決定に直接なんらかの影響を及ぼすものではないのである。



写真)ジョンソン首相


出典)Flickr; EU2017EE Estonian Presidency


 


そうでなければ、ひとまず離脱が強行され、その後、再加盟への道を歩むことになる、という展開もあり得ると思っていた。離脱も、再加盟も前例がないが、英国はもともと単一通貨ユーロにも加盟していないので、この面でのハードルも低い。


 


前述の離脱案に合意した際も、EUの側では「英国が戻りたい(再加盟したい)と言ってくれば歓迎する」などと述べていたのは、このあたりの事情を見越してのことだろう。別の言い方をすれば、英国はEUにも足下を見られていたわけだ。


 


結局ジョンソン首相が選んだのは赤穂浪士たらんとする道で、10月末の離脱は断念して12月12日に総選挙を実施することに議会の合意をなんとか取りつけた。EUも、最大3ヶ月間、2020年1月末までの離脱延期を認めたので、保守党が過半数を回復すれば、捲土重来を期することができる、というわけだ。つまり、私の予測も結論は来年まで持ち越されたわけだ。


 


ここで読者の皆様に知っていただきたいのだが、2016年の国民投票については、興味深いデータがある。


 


国民投票それ自体は、離脱派が51.9パーセント、残留派が48.9パーセントであったわけだが、BBCが年代別の投票行動を調べたところ、驚くべき結果が出た。


 


18歳から24歳の若者については、64パーセントが投票に行き、残留に投票した人が70パーセントを超えたというのである。


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