1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

HPVワクチン捏造報道 二審も「名誉棄損」認定

Japan In-depth / 2019年10月31日 22時50分

 


■ 控訴人側会見


判決後、厚労省内で記者会見した村中氏の代理人である弁護士の平岩敬一氏は「上告受理申し立ては村中氏の意向を踏まえて検討する」としつつ、「最高裁では原則新しい証拠を出すことはできない。(池田氏が)どのような実験でどういう結果が得られていたのか、それをテレビで報道したこと、その批判が許容されるのかという問題。それに対して名誉毀損だと言ってくるのは許されないのではないか。村中氏の裏づけ取材が十分でなかったことは争点ではない。」と述べた。今回の敗訴の原因は「訴訟技術的な問題に寄るところが大きい」とした。



▲写真 平岩敬一弁護士 ©️Japan In-depth編集部


村中氏は今回の判決を受けて、「最終的に正しい判断が下りるまで、戦っていきたいと思っている」と述べると共に、「本庶佑先生もおっしゃっているが、科学者はデータに対して謙虚に接しなくてはいけない。自分に都合の良い結果が出たものを発表する責任は重いと思う。これは海外の反ワクチン運動でも『先進国の日本でも、こう言われているんだ』と利用されてしまう。それは、記者としても医師としても、非常に残念に思う。そして、今回の裁判があるまで科学を封じるために名誉毀損訴訟をすることすら知らなかった。不適切なものをなかったことにする前例を作ってしまうことは、ジャーナリズムにとっても科学にとってもマイナス。今後このようなことがないように全力を尽くしたい。」と述べた。



▲写真 村中璃子医師 ©️Japan In-depth編集部


■ 編集後記


会見後、一部のジャーナリストが、村中氏が池田氏に直接取材を行わなかったことを指摘し、取材手法が不十分だったのではないか、と質問した。これに対し平岩弁護士は、村中氏が池田氏にメールで取材したところ、「これ以上お答えできない」と返答が来たことを上げ、その状況下で池田氏へのそれ以上の取材は無理だったことは明らかだ、との見解を繰り返したが、議論は平行線だった。


今回の裁判は、村中氏の記事が池田氏への名誉毀損にあたるかどうかであり、一審で名誉毀損相当と判決が出ていること、加えて、掲載誌の出版社と前編集長が和解に応じていることなども、村中氏の控訴棄却に少なからず影響したものと推察される。村中氏にとっては、残念な判決ではあるが、ここで今回の裁判を離れて冷静に考えてみたい。


私は、多くのメディアがHPVワクチンの報道を避けていることに大きな危機感を持っている。国がHPVワクチンの積極的勧奨を差し控えてから6年。その間、約300万人の少女たちがワクチンを受けていない。これが事実だ。将来、彼女たちの約3万6千人がHPVに罹患し、約1万3千人が死亡するリスクがある、との指摘も出ている。(参照記事:「子宮頸がん 情報格差は健康格差」)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください