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フランスでも深刻いじめ問題

Japan In-depth / 2019年11月11日 18時0分

 


ドラン監督は、こう述べています。


「スキャンダルをおこしたいわけじゃない、このクリップが昼間のあいだテレビで流されないことはよく理解できる。検閲に反対するつもりもない。しかし不幸なことに若者たちは、このクリップよりもさらにひどい現実を見ていると思うよ。」


 


グループでいじめをする生徒たち、いじめを見て見ぬふりする教師、学生たちの「何も見ていない」と目隠しをしながら携帯で撮影している姿、目隠しをしている警察が介入して、反対に被害者に被害がおよぶ様子、etc。多くのフランス語で書かれたコメントがこの動画のコメント欄にも残されていることからも、この映像が、カナダを含む、フランス語圏の多くの人の心を打ったことを物語っています。


 


その存在自体をタブーとされてきたいじめですが、しかし2011年にようやく人々や政治家たちがいじめについて語りはじめました。その年の2月に、フランス北部の街マルケット・レ・リールに住む、ジョナタン・デタンさん(https://www.imishin.jp/jonathan-destin/)が、いじめを苦にして焼身自殺をはかろうとしたことが、人々に大きな衝撃を与えたことも影響しています。



写真)ジョナタン・デタン氏


出典)twitter : @JonathanDestin


 


いじめを受け続けたジョナタンは、ガソリンを頭からかぶり焼身自殺を試みました。マッチに火をつけた瞬間、炎が全身を包んだのです。「心が深く傷ついていて、それしか解放の方法がないように思えたんだ。」と当時を振り返っています。しかし、生命本能がとっさに働いたのか、火の中でもがき苦しみながらも生きることを選択し、川に飛び込んだことで命を取りとめました。その後、何度も皮膚移植や整形をし、苦しいリハビリに耐え抜き、現在は、機会があるたびにメディアに姿を現し、いじめに苦しんでいる子供たちを励まし続けています。


 


このように、自殺に追いやられるなど、いじめが及ぼす影響について無視できなくなった教育省は、2011年5月にいじめの予防全国会議を開き、法的に被害者を認めることをきめ、教師たちのいじめの放置予防と、いじめの目撃者の証言、被害者とその家族の支援などを呼びかけ始めました。


 


また、いじめの場面をビデオクリップで流すなど働きかけ、タブーからの脱却をうながすと共に、被害者には無料の電話相談窓口(3020)を設けるなど、いろいろな対策を行っています。国が対応手順を定め、それに従い、地方教育委員会のいじめ専門官と学校が連携する仕組みも整えました。


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