朝日新聞中国人権弾圧を非難
Japan In-depth / 2019年11月12日 11時24分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・中国批判が少ない朝日新聞が中国の弾圧を非難するコラム掲載。
・習主席の国賓来日に反対はしないが、人権弾圧に抗議せよと主張。
・朝日新聞にまで指摘される安倍政権の対中姿勢は融和的過ぎる。
朝日新聞と中国といえば、主張が合う事例がきわめて多かった。日米共同のミサイル防衛への反対、日本の防衛庁を防衛省にすることへの反対、首相の靖国神社参拝への反対などなど、両者の主張がぴたりと一致した例はあまりに数が多かった。だから朝日新聞が中国を非難することは少なかった。
ところがごく最近、朝日新聞のコラム記事に中国共産党政権の国内での弾圧を正面から非難する主張が打ち出された。しかも安倍政権が習近平国家主席を国賓として招くことへも留保をつけていた。
朝日新聞のゆがんだ主張を長年、指摘してきた側としてはこんな健全な主張も出るのかと、快適な驚きだった。中国共産党の弾圧はついに親中で知られた朝日新聞からも非難されるほど、ひどくなったのか。あるいは朝日新聞が現実的なスタンスへと動き始めたのか。
▲写真 朝日新聞の看板(有楽町マリオン 2010年3月20日)出典: Flickr; street viewer2
この記事は朝日新聞10月26日付朝刊オピニオン面に載った「多事奏論」というコラム評論だった。筆者は編集委員の吉岡桂子記者、ベテランの中国専門記者である。この記事の見出しは「改革派の研究所閉鎖 中国の弾圧 ひとごとでない」と中国共産党政権の弾圧をはっきりと指摘していた。
内容は鄧小平の改革・開放路線に沿って生まれた中国の民間シンクタンクがこのほど習近平体制下で閉鎖を命じられたことについて、その研究機関のいま90歳の創設者に会って聞いた話が主体だった。「民間」といっても共産党体制の枠内での非政府ということなのだろうが、その機関は自由な市民社会の必要性や市場経済の拡大、言論弾圧を受けた知識人の解放などを主張してきたのだという。だがついに閉鎖されたのだ。
このコラム記事のなかには以下のような記述があった。
「習近平体制下での改革派知識人への弾圧はとどまるところを知らない」
「一党独裁下の中国では政経不可分である」
「習体制下では抑圧は増す」
「中華人民共和国の歴史よりも長く時代の荒波を生き抜いてきた『茅老』の口すらいま封じられている」
以上のような記述はきわめて常識的である。だが朝日新聞としては珍しい。
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