フィリピン密輸品は中国から
Japan In-depth / 2019年11月17日 14時0分
11月6日にロブレド副大統領はこの指名を「超法規的殺人を終わらせることができるなら、この挑戦を受けて立つ」と受諾することを表明、麻薬対策を陣頭指揮することになったのだ。
ロブレド副大統領は早速米政府や国連の関係者などとの会合を持ち、フィリピンの麻薬問題の詳細な分析と情報収集などで意見交換すると同時に協力を求めた。
これに対し米側は「フィリピンの友好国として可能な限り協力する姿勢を示してくれた」(ロブレド副大統領)としている。
▲写真 フィリピンの薬物戦争への抗議活動(ニューヨーク) 出典:Flickr; VOCAL-NY
■ 今後の麻薬捜査は対中国にシフトか
ドゥテルテ大統領は2016年7月の大統領就任直後に「不法麻薬を扱う大物はどこにいるのか。その大物を捕まえたければ中国に行きそこで探せばよい」と公言して憚らなかった。そして「フィリピンに麻薬を密輸している麻薬組織の大物が中国に滞在していることは誰もが知っている」と具体的な大物の名指しをさけながらも中国を間接的に批判していた。
こうした麻薬密輸に関連する中国人組織、中国ルートなどにロブレド副大統領は米政府や国連の協力をテコに本格的にメスを入れる方針を示したといえる。
ロブレド副大統領は「詳細なデータや情報の分析がさらに必要だが、国内に流入する麻薬関連事犯で逮捕されるのはフィリピン人か中国人だ」としたうえで麻薬捜査に関して中国ルート、中国人組織に注目して摘発を進める考えを示した。
こうした考えの背景には、国内で麻薬密売者、所持者、使用者を対象とした取り締まり、捜査から海外からの麻薬供給ルート摘発に力を入れ、これまでの超法規的殺人による摘発方法中心の捜査からの方向転換という麻薬対策の根本的な見直しを示唆したものとして注目されている。
今後の捜査や情報収集の結果次第としながらもロブレド副大統領は「在マニラの中国大使館との協力」の可能性についても視野にいれているという。
ドゥテルテ大統領が進めてきた超法規的殺人を含む強硬な麻薬対策は一定の効果をみせたとされているが、米政府や国際社会、人権団体やキリスト教関係者などからは「人権侵害の疑いがある」と厳しい批判を受けてきたことも事実。
こうした国内外の批判を謙虚に受け止めて適正な方法による麻薬対策がロブレド副大統領の陣頭指揮には期待されている。
米政府や国連が「協力を表明」した背景にもこうしたフィリピン政府の「人権侵害の可能性がある超法規的殺人を含めた強硬策」からの方針転換を歓迎する意向があるものとみられている。
トップ写真:フィリピン、レニー・ロブレド副大統領 出典:Public of the Philippines
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