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異国で生きる孤独 ~イラン人がん患者、シャハワンさんと出会って~

Japan In-depth / 2019年12月2日 23時0分

 


言葉の通じないイラクでのうまくいかない生活。シャハワンさん一家は気がつけばふと祖国を思い、泣くことが多いのだとサヘルさんは言う。


 


そんな家族は、ペルシャ語を喋るサヘルさんの訪問に「アルビルへ移住してきた三ヶ月間で初めてイランの同胞と話すことができて、大変うれしい」と喜んだという。サヘルさんは家族にイラン式のライスプディングを振る舞い、少しでも楽しい思いができるようサヘルさんは努めた。「甘い祖国の味を食べて、すこしでも生活の中の苦い思いが忘れられるといいな、と願って作りました。」サヘルさんはそう言う。


 


生活に苦しむ家族に、先の不安な治療の経過がさらにのしかかる。シャハワンさんの薬にかかる費用は、2ヶ月に約10万円。期待される効果をあげるためには、連続的な投与をする必要があるこの薬を、安定した収入源のない家族がまかなうことはどれだけ困難なことだろう。幸い今は、現地の病院で出会った看護師にこころよく譲ってもらったものを服用しているのだそうだが、その薬も日に日に減っていく。そこでJIM-NETとサヘルさんは、生活が安定するまでのシャハワンさんの薬代をサポートするためのクラウドファンディングを実施。今では募った寄付金は、目標額の150%を超えている。


 



写真 シャハワン一家との交流について共有するサヘルさん ©Japan In-depth編集部

 


自分自身も慣れない文化の中生活する孤独を経験したことがあるサヘルさん、家族が置かれた状況は痛いほどわかるという。しかし、援助活動に関しては慎重な考えを示す。一時的な哀れみの気持ちから、何かしすぎてしまうことは、彼らに「もらう」ということに慣れさせてしまうことを、世界各地の難民キャンプを回るサヘルさんは知っている。


 


「むやみな支援をすることが一番残酷だ。」そうサヘルさんは訴える。生活全体が苦しいシャハワンさん家族に対する今回の支援が薬代、しかも生活が安定するまでという条件つきなのは、そうした懸念からだという。


 


ものや金銭による支援も必要だが、その地域の特徴、人々、また今そこで起こっている現状についてを知ってもらうことをサヘルさんは強調する。中東の国々それぞれに美しい文化がありや美しい人々がいるにもかかわらず、話題に上がることは不安定な社会やテロの危険についてばかり。祖国の話をするときに、「大変でしょ」と言われることがとても多いとサヘルさんは語る。「食事でも、音楽でもいい。何かその土地に関する美しさを学んでいただければ、現地の人は喜ぶ。」


 


 「私は活動家でもない。ジャーナリストでもない。でもそんな私も、現地に行き、その経験を共有することで現地の人たちの役に立てたらと思っています。」


 


会場で振る舞われた甘い甘いライスプディングの味と、写真の中の悲しげな笑顔の数々が、頭に残る。



写真 サヘルさん手作りのライスプディング。上にはシナモンを使い、ペルシャ語で”دوسِت دارم (Dooset Daram; “愛してる”)”と書いてある。 ©Japan In-depth編集部

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