1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

英国でも「気分の民主主義」台頭 速報・英国総選挙2019(上)

Japan In-depth / 2019年12月16日 23時0分

余談だが、英国の旧植民地であった香港でも、この有権者登録の制度は踏襲されていて、この夏に、英国と同様、それまで政治参加に消極的だった若年層が、大挙して新たに登録した。これが直近の区議会選挙で民主派を圧勝させる原動力のひとつとなったのである。


もうひとつ、海外在住の英国民には「15年ルール」というものが適用される。軍人など公用で海外に居住している人を別として、在外期間が15年を超えると選挙権を失うことになるのだ。


話を戻して、私は英国での世論調査など、あまり信用していなかった。


言葉は悪いがテキトーな人が多く、アンケートやインタビューでは支持政党などについて、もっともらしいことを言うが、選挙当日にその日の気分で投票行動を変えたり、そもそも有権者登録していなかったり、というケースが多いからだ。もうひとつ、真面目な理由(?)もあって、どの政党も、


「今度は危ない、負けそうだ」


という逆宣伝を行って、選挙運動の現場を引き締める、という戦術を伝統的に多用している。したがって、支持者が世論調査などに答える際にもその戦術が反映する(つまり、本当の考えとは真逆のことを言う)場合が、これまた多いのである。


いずれにせよ、今回の総選挙で、過半数はともかく保守党の勝利自体は確実視されていたのは、2016年の国民投票でEUからの離脱が決まっていながら、その後3年半も実行に移せない「決められない政治」に対する、英国の有権者の憤懣は、今や頂点に達している、と衆目が一致していたからだ。


一度決めたことは実行する、という態度に徹したジョンソン首相の方が、


「政権を取ったらブレグジットについては再度の国民投票を実施し、半年以内に問題を片づける」


などと、党として離脱なのか残留なのかさえ明確にしない労働党のコービン党首より、リーダーにふさわしい、と多くの人が考えたとして、なんの不思議もない。たとえ、ブレグジット以外の具体的な政策がほとんど示されていなかったとしても。



▲写真 コービン氏支持者たち 出典:Flickr; Socialist Appeal


英国の選挙制度では、1地区1議席の単純小選挙区制で、日本のように「比例で復活」ということは起きない。そして、もっとも多くの議席を獲得した政党の党首が、自動的に国王(現在はエリザベス2世女王)から首相に指名される。


間接的な首相公選制として機能している反面、21世紀になっても「女王陛下の議会」であり続けているわけで、先進的な側面と旧態依然たるそれとが共存しているのだ。いかにも英国らしいと言えば、それまでだが。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください