英国でも「気分の民主主義」台頭 速報・英国総選挙2019(上)
Japan In-depth / 2019年12月16日 23時0分
いずれにせよ今次の総選挙においては、有権者の「ブレグジット騒動疲れ」をうまくすくい上げたジョンソン首相が勝利を得た。
EU残留派は、とにかくジョンソン首相の続投だけは阻止しようと、選挙区ごとに、支持政党にこだわらず保守党候補に勝てそうな候補者に票を集める「戦略投票」まで画策し、実際に約500万人の残留派の有権者がこれを実行すれば保守党を過半数割れに追い込める、といったシミュレーションも行われた。
さらに、かつては政敵だった労働党のトニー・ブレア、保守党のジョン・メージャーという二人の元首相が、残留派の集会で仲良く「戦略投票」を呼びかける(メージャー氏はビデオ出演)というパフォーマンスまで行ったが、効果は限定的であった。
その理由のひとつは、単純小選挙区制のなせるわざで、全国レベルでの得票率と議席数が必ずしも一致しないため、とりわけ今次のように国論を二分する政治テーマがあったような場合、どちらかの勢力に「風が吹いた」となると、地滑り的な勝利という結果が出てしまうのである。
今回の最後に、投票率の話を。
前述のように、これまで政治参加に消極的だった若年層が大挙して有権者登録し、また国際的にも注目度の高い選挙だったにもかかわらず、67.3パーセントと、前回(2017年。68.7パーセント)を下回った。これは、繰り返し述べている「騒動疲れ」で、もはや選挙にさえ行かない、という形で政治そのものへの抗議の意志を示した人が多かったことに加え、およそ100年ぶりの真冬の総選挙であったことが関係したものと見られている。
英国でも、ネットなどで知られる大勢に乗っておれば間違いないだろうといった「気分の民主主義」が根付いてきたのかも知れない。
(中に続く。全3回)
トップ写真:英国総選挙2019(ロンドン)出典:Boris Johnson Twitter
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