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かくして労働党は自滅した 速報・英国総選挙2019(中)

Japan In-depth / 2019年12月16日 23時0分

要するに、21世紀に入ってからの労働党は、中道路線に傾斜しすぎて保守党との対立軸が見えにくくなり、これが低迷の原因だと考えられたのだ。労組の後押しに加え、各種の世論調査でも「コービン推し」の声が高いことが伝えられ、最終的に党首選を制した。


党首として最初に戦った2017年の総選挙では、選挙前の232議席から262議席と躍進し、保守党を単独過半数割れに追い込んだが、しかしながらこの結果、テレーザ・メイ前首相が退陣し、ボリス・ジョンソン首相の登場となったわけである。



▲写真 ジョンソン首相 出典:Boris Johnson Twitter


前回述べたように、やると言ったらやる、というように「強いリーダー」という印象を有権者に植え付けたジョンソン首相に対し、党内事情や、自身の過去のEUに対する見識との整合性から、国民投票のやり直しを政策に掲げるしかなかったコービン党首が、太刀打ちするのは難しかった。


それでも、再訴の国民投票を呼びかけた労働党に、EU残留派の自由民主党とスコットランド国民党、 それにジョンソン首相のブレグジット案で、言わば切り捨てられた形になった北アイルランド諸派の得票率を合計すれば、保守党を上回っていたのが事実である。


別の言い方をすれば、残留派の勢力をうまく結集すれば、またしても保守党を過半数割れに追い込むことは十分に可能であった。げんに自由民主党などは、もしもハング・パーラメントになった場合は、労働党と連立してもよい、と語っていた。コービン党首の交替が条件とされていたので、現実には難しかったと思えるが。


そもそも英国の自由民主党と言うのは、かつて「極左に牛耳られた労働党」には我慢がならないとして、割って出た右派が旗揚げした社会民主党と、旧自由党が大同団結したものである。左翼嫌いという点では、むしろ保守党より徹底している感がある。


ともあれコービン党首は辞意を表明し、労働党は今度、新たなリーダーのもと新たな路線を模索することになるだろう。


事実上のやり直し国民投票とも言える今次の総選挙で、来年1月末にブレグジットが実施されることは。まず確実となった。


ただ、それで今次の騒動に最終的な決着がついたのかと言われると、それはまったく違う。詳しくは、次回。


トップ写真:ジェレミー・コービン党首(2019)出典:Flickr; It's No Game


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