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私のパフォーマンス理論 vol.44 -冬季トレーニング-

Japan In-depth / 2019年12月23日 7時0分

冬期トレーニングの時期は、つい辛い練習に行きがちになる。良いトレーニングは辛さを伴うことが多いのは確かだが、辛ければ良い練習であるとは言えない。辛さは成果の指標ではない。全ては目的とトレーニング負荷によって定義される。特に目的のない冬期トレーニングは、成果を測る指標が辛さ以外なくなってしまうので、どうしても辛い練習を増やしがちになる。そもそもの土台ができていない中学生高校生はこのような発想でも成長できるが、大学生以降辛さだけを指標にした選手はほぼのびとまる。量に限界がきたところで質をあげなければならない。しかし、この質への移行時期には必ず体感的に辛さが減少する。辛さで成長してきた選手はこの質への転換時期に、辛さが減ったイコール練習量が減ったという不安に耐えきれなくなり、また辛い練習に戻っていく。そして、大体同じレベルをぐるぐる回ることになる。


日本の冬期トレーニングは、気温の制限もありスピードレベルを落として量を追わざるを得なくなったのはわかるが、それにしても少しスピードが遅すぎる印象がある。特にミドルスピードの練習を繰り返すことが多いが、これは私の経験上悪影響が多かった。例えば私であれば300mはシーズン中なら33秒ぐらいで走れたが、冬は38-40秒ぐらいを3-5分restにして4本、それを2-3セット行う。こういった練習は体感的にとても辛いので強くなった気がするが、実際にはミドルスピードで何本も繰り返すことに対して強くなっているだけで、一本で勝負が決まる試合時にはあまり使えない強さになった。22,3歳あたりからやめて特に26歳ぐらいからは、ゆったりとした400m以上のエンデュランス系(400mを57秒以上)か、30-50mのダッシュの繰り返しの二つに絞り、中途半端なスピードと距離は全部やめた。


技術の定着は、競技人生の間でおいかけていくような根本的な技術と、もう一方で、翌シーズンで決めた狙いに向けて合わせていくものを定着させるものがある。根本的な技術で言えば、とにかく乗り込むという技術を定着させることが先決だろうと思う。この技術は全ての陸上競技の技術につながっていく。私の場合は立五段飛びや、スキップが感覚を掴みやすかった。この乗り込むがある程度できていくとこれを全身の躍動につなげていく。高跳びであれば上に、短距離であれば前に、投擲であればモノに伝える。


もう一つはその年に狙うべき目的から逆算された技術の習得だ。これは毎年変わっていくものだし、毎年変えたほうがいい。人間の体は順応する性質があるので、毎年同じことを繰り返すと刺激が減っていくことが考えられる。仮に同じものを狙うにしても、いろんな角度からいろんな刺激で自分を揺さぶっていかなければ成長が続いていかない。また毎年冬に目的を絞り込むということは、前シーズンで不足していたものや来シーズンでなりたい姿もまた明確になるということでもある。


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