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オリンピック後が真の 正念場【2020年を占う・経済】

Japan In-depth / 2019年12月28日 18時0分

このような状況の中、改革の司令塔として、政府は「全世代型社会保障検討会議」を設置し、社会保障制度改革の方向性について、2020年夏までに最終報告を取りまとめる方針であるが、成長に過度に頼った改革議論もリスクが高い。例えば、名目GDP成長率の予測(政府経済見通し)では、実績が予測を上回ったのは過去21年間のうち6回のみだ。すなわち、政府予測の的中確率は28%しかなく、厳しいシナリオを前提に改革を進める覚悟を政治や我々国民がもつことが重要である。


その意味で、低成長で貧困化が進む中、最も重要な視点は何か。例えば、現行制度上、基礎年金や医療保険等には所得や資産の高低にかかわらず、公費が投入されているが、限られた財源の使途として、本当に効率的な使い方だろうか。増税議論を封印する動きもあり、公的保険給付の範囲見直しや公立病院の再編等も必至だが、効率的な再分配政策という視点では、「リスク分散」機能を担う保険と「再分配」機能を担う税の役割を切り分け、世代にかかわらず、公費は本当に困っている人々に集中的に投下するといった新たな「改革の哲学」を政治主導で示すことである。


真の困窮者を救うためには、社会保障の支え手を増やす努力も必要であり、在職老齢年金の見直しや年金の繰り下げ拡充など最低70歳までの就労促進を軸に、働き方改革や資産形成を促す政策も重要だ。


その関係で、負担のあり方も見直しが必要だ。例えば、現在の「年齢差別」的な医療の窓口負担を改め、「応能負担別」の窓口負担に変更する改革は不可避だが、保険料や税でも、世代にかかわらず、社会保障・税番号制度も活用し、年金等の所得も合算しつつ、資産を含む負担能力に応じて負担する仕組みとするのが望ましい。


まずは、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けた改革断行が急務だ。また、短期的でパッチワーク的な改革でなく、中長期的な視点での抜本改革(すなわち、社会保障・税の一体改革バージョン2.0)が必要なことも明らかであり、「何を守り、何を諦めるのか」といった国民視点での「新たな社会保障の哲学」や、国民が共有できるビジョンを構築する必要があろう。


トップ写真 出典:Pixabay


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