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文政権、4月の総選挙惨敗か【2020年を占う・韓国】

Japan In-depth / 2019年12月30日 11時0分

文政権、4月の総選挙惨敗か【2020年を占う・韓国】


久保田るり子(産経新聞編集委員・國學院大學客員教授)


【まとめ】


・文在寅政権への国民不信拡大、2020年4月の総選挙は与党惨敗か。


・文政権と曺国を追及する韓国検察激突の構図で検察優位。


・北朝鮮、2020年春に何らかの挑発を行う可能性。


 


韓国・文在寅政権は2020年、危機的な状況を迎えそうだ。国内の支持は目に見えて低下しており4月の総選挙では「与党惨敗」の予測が出ている。国際関係は日韓関係のさらなる悪化、米韓関係の停滞、南北関係の沈殿と八方ふさがりで出口がみえない。この不安定な情勢のなか、支持挽回のための奇策を弄する可能性もあり、日本としては文政権の動向を注視する必要がある。


文在寅政権の最大の失敗は2019年夏の曺国(チョ・グク)法相指名だった。娘の不正入学や怪しげなファンド(私募)を使った資金集め、自身の論文の剽窃疑惑など「特権でズルをしてウソをつく」タマネギ男こと曺国氏だ。曺氏を文大統領が強引に法相に就任させたことへの国民の怒りは政権への不信感を根付かせ、その後も払拭どころか拡大の一途といえる。理由は青瓦台(大統領府)が国民の声に耳をかさずに反日で曺国政局を乗り越えようとした傲慢な態度だった。



▲写真 記者会見で応答する曺国氏 出典:Frickr: Public of Korea


現在は文政権と曺国を追及する韓国検察・尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の激突の構図で検察が優位に立っている。政権側は検察の曺国の逮捕状請求を阻止できず対立は先鋭化した。背景には「民主化や積弊清算(過去の政権の悪弊をただすこと)を唱えてきた文政権だが、結局、自分たちも特権を利用して権力を振り回している」と国民感情(韓国では民心と呼ぶ)が反映している。ソウル市内の保守派による反文集会は人数の増加が目立つ。



▲写真 尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長 出典:韓国検察庁


4月の総選挙のカギを握るのは、大票田で浮動票の多いソウル首都圏だが、文政権は中道左派のこの大票田の信頼を完全に失った。さらに文氏の地盤である釜山の票もかなり失った。釜山のある慶尚南道は元来、保守地盤だったが、朴槿恵スキャンダルで揺れた大統領弾劾後の大統領選では文在寅氏を選んだ。しかし、いまや「文政権も権力で不正三昧」との評価が広がり、釜山は政権に見切りを付けたようだと観測されている。


韓国の第1野党、自由韓国党は保守だが、国民の反文勢力や保守層が第1野党を支持するとは限らない。保守は朴槿恵弾劾をめぐって弾劾派にまわった保守と最後まで朴槿恵支持だった保守に分裂している。文政権内はすでに不協和音があちこちから出ている。「政権の弱体化をみた官僚たちは仕事をしなくなった」(韓国人ジャーナリスト)。今後、行政の停滞は必至で青瓦台からの業務指令に各官庁の現場は「文書で内容を書いてください」と明文化を要求し、後で問題にならないよう自己防衛にはいっている。選挙で与党が過半数を割れば法律も通らなくなり、文政権は身動きが取れなくなる。


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