乳がん検診、マンモの意義【2020年を占う・医療】
Japan In-depth / 2020年1月2日 11時24分
▲写真 マンモグラフィー検査機 出典:Pixabay by AlarconAudiovisua
ではなぜ40歳代の女性においてこのような現象が起きるのだろう。代表的な理由の一つが、この年代でデンスブレストを高頻度に認めることである。デンスブレストとは、白色に描出される乳腺実質を広範囲に認めるマンモグラフィー画像を指す。デンスブレストの乳房においては、乳がんが存在していたとしても、背景乳腺に隠れてしまうため、乳がんの検出率が下がるのである。また、正常な乳腺組織を乳がんと誤って認識するようなケースも増加する。40歳代の実に半分以上がデンスブレストと判断される状態にある(4)。デンスブレストの頻度は年齢とともに減少するが、50歳代、60歳代の女性においても、40%以上、30%以上がデンスブレストと判断されており、50歳以上の女性においても無縁ではない。
▲写真 マンモグラフィーで写し出されるデンスブレスト(高濃度乳腺)(左)と脂肪の多い乳房(右)。出典:National Institutes of Health
現在、マンモグラフィーによる乳がん検診において、検査異常の有無と合わせて、デンスブレストの有無について対象者に伝える仕組みを多くの国が採用している。そして、実臨床レベルにおいては、乳房超音波検査や造影MRI検査を追加で実施するのが一般的である。
しかし、異常はないがデンスブレストの存在を通知されたようなケースの対応は難しい。なぜならば、追加の検査を実施して乳がんが見つかるケースはかなり少数であるのに対して、偽陽性や不必要な生検を必要とするケースが高頻度で発生するからだ。現時点では取るべき対応についてコンセンサスが取れていない状態である。
そのような議論に一石を投じる論文が、2019年12月に、世界で最も権威がある医学雑誌である「ニューイングランド医学誌」に発表された(5)。この調査においては、2年毎にマンモグラフィーを実施している50〜74歳の女性のうち、特に異常はないがデンスブレストを指摘されたような方々を、追加で造影MRI検査に実施する群と実施しない群にランダムに割付した。その結果、造影MRI検査を実施した群においては、2年後の検診までの期間に指摘される乳がん(中間期乳がんという)の頻度がおよそ半分に減少した。一方で、新たに造影MRI検査で指摘された異常に対して実施された生検のうち74%が偽陽性(がんの診断には結びつかなかった)だった。
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