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「分断の時代」に終止符を(下)【2020年を占う・社会】

Japan In-depth / 2020年1月5日 11時0分

「国債金利は史上最低を更新し続けているではないか。みんな国債を欲しがっているのだ」


「日本経済のポテンシャルを考えれば、日本国債が急に売られることなど考えられない」 で片付けてしまうようだが、これに対して,私は端的に答えられる。


「そんなこと、誰が保証できるのか」


これである。経済は生き物なのだ。


ただし私は、MMTをまったく認めない態度も正しくないと考えている。たしかに経済政策論の面ではまだ緻密な議論に達しておらず(MMTを主張したり信奉する人たちも、そこは認めている。彼らに言わせれば〈枝葉末節〉らしいが笑)、今のところ国の財政に反映させるのは危険きわまりないが、財政健全化=プライマリー・バランスの黒字化ばかりを追求して財政出動を躊躇すると、デフレからの脱却が遅れるばかりで結局は誰の利益にもならない、という議論は、日本の現状に合致しているのではないか。


私は『納税者だけが知らない消費税』(共著・電子版アドレナライズ。原著は『今こそ知りたい消費税』NHK生活人新書)という本の著者であるから、税制や財政に関しても、少なくともズブの素人ではない。


その立場から言わせていただくと、たしかに日本の財政赤字は深刻である。世界には、借金で首が回らなくなったような国がいくつもあるが、それらの国の負債額を全部合わせたより、日本国債の発行残高は大きいのだ。


ただ、それはあくまで中長期的な課題で、次世代にツケを残すな、という表現も、その文脈において理解されるべきである。冒頭でMMTを紹介したのも、話がここにつながってくるので、日本のように国債の大部分を国内で引き受けることが可能な国は、負債と言っても、返済期限が厳然とある個人や民間企業のそれとは違い、


「いつか必ずお返しします」


で済まされるのだ。もちろん「今のところは」だが。


さらに言えば、なにごとも「ものには順序」ということがある。


東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ開催され、一方では今後30年以内に首都直下型地震が起きる確率は70%以上だと言われているのに、首都高速道路や学校・病院などの耐震化工事が遅々として進まないのは、一体どういうことか。


さらに税金と財政の関係について話をさせていただくと、税金にはふたつの機能がある。ひとつは政府の財源。そしてもうひとつは、富の再分配という機能だ。


ごく簡単に言うと、たくさん稼いでいる人には税金もたくさん納めてもらい、それを所得の低い人たちのために使って行くことで、格差が止めどなく拡大することを防いで行く機能がある。社会の自動安定化装置と言ってもよい。


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