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脱ゴーン、日産はどこへ行く

Japan In-depth / 2020年1月10日 8時39分

とにかく、今後は誰も耳を貸さないだろうが、ゴーン被告の繰り言は続く可能性がある。そのたびに日本はきちんと反論すべきだ。彼のメディア戦略に屈してはならない。


 


■ ゴーン経営の評価


以前の記事でも書いたが、ゴーン被告の功績は、2兆円の借金にまみれた日産の業績をV字回復させたことだろう。が、それも主力工場を閉鎖し、2万人の従業員の首を切ってのものだから、正直、彼でなくても胆力がある経営者ならできないことはない。


もう一つの功績、たぶんそれが最大のものではないかと思っているのだが、EV(電気自動車)の量産を日本の競合他社に先駆け実現したことだろう。最大のライバル、トヨタ自動車は未だにEVの量産型を持っていないことを見ると、その先見性は評価していいと思っている。


最も、HVの開発を中止してしまったことや、EVの車種がリーフ1車種にとどまっていること、ルノーとの部品共通化が当初目標より遅れていることなどは、決して褒められたものではない。世界的なEV化の潮流の中で、フロントランナーだったにもかかわらず、先行者利益を得ることができなかった。これは未だに筆者は謎に思っている。ゴーン被告は何をしていたのだろうか?


もう一つ大きな業績の一つに、アライアンスに三菱自動車工業を加えたことだが、これも大したシナジーが出ているとは思えず、せいぜい全体の生産台数が底上げされたくらいの効果しか出ていない様に思える。これも功績としてほめたたえることは出来そうにない。


 


▲写真 日産LEAF 出典:Wikipedia


 


■ ルノーと日産の力関係


ゴーン被告が日産自動車を追われた原因に、ルノーと日産の関係があるのは周知のことだ。ルノー・日産・三菱はアライアンスと名乗っているように、相互に株を持ち合った緩い「統合」である。かつて、会長だった志賀氏は「通常の合併ではなく、我々のアライアンスという統合の形はもっと評価されてもいい」と筆者に強調したことがある。確かに現状ルノーが日産の43%の株を、日産がルノーの15%株を持ち合うという形は変則的だ。しかもルノーの15%の株はフランス政府が持っている。完全合併ではなく、緩い統合=アライアンスだからこそ、ルノーと日産はお互いの独立性を保ちながら成長していける、との主張だと受け取った。


しかし、フランス政府はルノーの日産に対する支配を強めようと考えている。ゴーン被告は表立ってはルノー、日産の合併には反対の姿勢だったが、ゴーン被告の下では、日産への支配力を強めたいフランス政府の圧力をかわし切れるか、西川廣人前日産CEOは不安を感じていたと思う。そうした中でのゴーン追放劇だったわけだが、司法取引をしてまで追い落とす手法に違和感を感じたのは筆者だけではなかろう。


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