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米国がイランに勝てないわけ

Japan In-depth / 2020年1月10日 19時0分

そこで見込める利益もない。


化石燃料資源も戦争の間尺に合わない。米国はすでにエネルギー自給を達成しており海外産燃料は必要としない。また石油も天然ガスも国際価格次第で世界各地から湧いてくる時代でもある。



▲写真 ヤマル天然ガス。天然ガスは地域的偏在がほぼない資源である。また国際価格次第でいくらでも湧いてくる状況にある。わざわざ中東産油国を占領してまで求める資源ではない。写真はロシア北極圏のヤマルガス田。出典: 開発合弁企業のJSC YAMAL社ホームページ


 


また対イラン戦争が解決策となる政治的問題もない。


核開発も対イラン戦争で解決しない。イラン現体制を完全に打倒し、全土を占領しない限りはむしろ促進する結果しか産まない。そして次に述べるように米国はイラン打倒、完全占領は難しいからだ。


そもそも米国の対イラン憎悪は利害対立の結果ではないのだ。革命後に大使館を占拠された遺恨でしかない。40年前に大国の面子を潰された。それだけが対立の原因である。(*2)


つまり戦争をしても米国は具体的利益は何も得られないのである。


 


■ イラン侵攻はできない


米国は対イラン全面戦争はできない。


その3つ目の理由は米国はイランに勝てないことである。そしてこれは対イラン全面戦争がない最大の理由である。


イランは中東随一の強国であり国民は団結している。こと侵略に対しては流血を厭わずに最期まで戦う。その点で国民国家として未成熟であったアフガニスタンやイラクとは異なる。


これはイラン・イラク戦争の前例からも明らかである。革命の混乱に乗じて侵攻したイラクとの戦いにおいて100万の戦死者を出しながら戦いきっている。(*3)


米国にとっても一筋縄で勝てる国ではない。



▲写真 イランのNasr対艦ミサイル。写真のようにトラックにさおだけ屋式に載せた運用がなされる。誘導設定は光学系が多くLOSと呼ばれる直接照準射撃が本則となるため電子戦には強いミサイルである。さおだけ屋と同じようにまずは潰れない。出典:イランのYOUNG PHOTOJOURNALISM AGENCYより。撮影:Mohammad Sadhgh Heydari (CC BY 4.0)


 


そもそも軍事的勝利そのものも難しい。米国は戦闘においても湾岸戦争やイラク戦争のような鮮やかな勝利を得られるかは疑わしいのだ。


なぜならイランはここ40年間、対米戦準備を徹底しているためだ。


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