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米国がイランに勝てないわけ

Japan In-depth / 2020年1月10日 19時0分

対イラン苦戦の可能性は米海兵隊の機関紙でも指摘されている。米軍が依存するGPSへのジャミング、それに伴う誤爆を利用したyoutube等における宣伝戦、また非GPS依存のイラン・ドローンの脅威を指摘する内容だ。(*4)


これは米海兵隊が「対イラン上陸戦は不可能である」といっているようなものだ。


もちろん、米軍はイラン本土上陸までできる。事前にホルムズ島ほかを占領する。そこから支援の下で本土に橋頭堡を形成するまではもっていける。


だが、米上陸軍はイラン人海戦術で圧倒される。


まずイランは海空戦力で米軍を混乱させる。GPSジャミング、自律ドローン、水上/半潜没/水中特攻艇を同時に繰り出し海空軍や沿岸砲兵も全力攻撃を行う。それで1晩を挟んで2日の時間は作る。


そしてその間に陸上戦力を前進させる。動員可能な全壮丁、例えば全人口の1%80万人を米軍橋頭堡に向けて前進させる。米軍が長所を活かせない機関銃、小銃、手榴弾による接近戦を挑む。


そうすればどうなるか?


米上陸軍は溶けてなくなる。上陸部隊、ざっと3万から5万人は死傷あるいは捕虜となる。米国はそれには耐えられない。なによりも無名の師であるためだ。


もちろんイランは青壮80万人を喪うかもしれない。だがそれにより侵略者を打倒できれば躊躇しない。なによりも100万人の戦死を出しながらイラクとの戦争を戦い抜いた国である。


つまり、米国は最終的勝利を得られない。これが米国は対イラン全面戦争はできない3つ目の理由の骨子であり最大の要因である。


 


(*1) 日本ですら対イラン戦争支持は厳しい。政権は支持したいかもしれない。国益よりも政権維持を優先する風があり「米国への赤誠的献身により国内政治権力は獲得できる」「米国に尽くせば国内政権支持は向上する」とも考えているからだ。だが、経済界や官僚ほかの実務家がそれを許さない。イランとの関係断絶は将来の化石燃料入手先と市場の喪失である。あるいはサウジ衰微以降のありうべき中東秩序からの排除を意味するためだ。だから現政権は対イラン強硬論には乗れないのである。


(*2) 結局は核開発もその裔である。米国の強硬態度がイランを核開発に走らせただけの話だ。関係が正常化すれば核開発は止まる。あるいはペースダウンする。これはオバマ政権の政策をみれば明らかである。


(*3) イラン国民は一致団結してイラクと戦った。その団結には革命への態度が疑われていた国軍以下のセクターや社会階層も含まれている。そして短時間で巻き返しに成功しその後も圧倒的逆境の中で戦争を戦い抜いた。


(*4) Gentry, Keil R "Land the Landing Force" "Marine Corps Gazette"103.10 (Quantico:Marine Corps Association & Foundation) pp.68-69.


トップ写真:トランプ米大統領(左)とイランの最高指導者・ハメネイ師(右)出典: トランプ大統領(The White House facebook)/ハメネイ師(Wikimedia Commons; khamenei.ir)


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